今月9日、陸軍が陸軍士官学校の三禁制度の改正案を発表しました。
三禁制度、いったい何を禁じているのだろうと思ったところ、それは
「禁酒、禁煙、禁婚」です。
禁酒、禁煙は分かるのですが、禁婚は何かというと異性間の交際、特に婚約・結婚を禁じるというものでした。
この制度は、1952年の第11期生徒から適用され、今まで厳しく維持されてきました。これまでに飲酒規定が一部緩和されただけです。しかし、前近代的で人権侵害の恐れがあると批判する声が持ち上がり、2008年6月、国家人権委員会は、陸士の3禁制度について「人権侵害」だとして改善を勧告していました。
では実際にどれくらい守られているのかというと、「陸軍士官学校の50年史」という本に書かれている3禁制度の違反実態を見ますと。
1969年にはこの制度に違反した生徒の割合は、喫煙3.3%、飲酒8.5%、異性交際3.3%でしたが、10年後の1979年には喫煙11.7%、飲酒25.4%、異性交際3.6%でした。そして1988年には喫煙56.3%、飲酒88.8%、異性交際15.2%が違反したと答えています。
この数字は卒業後の生徒に対して、在校中の経験として質問した答えです。
今から30年以上前の時点ですでに喫煙、飲酒はほとんど経験していたようですが、異性交際に関してはまだまだ少なかったようです。
しかし最近は校内に女性の生徒も増えています。去年の5月には陸軍士官学校の生徒間での性暴力事件もあり、学校側は1年生の異性交際を禁止するという強化策をとりました。その結果、学校を自主退学する生徒の数が、前の年の10人から45人に増加してしまいます。
またソウル行政裁判所は昨年7月、自身のワンルームマンションで、交際相手の女性と定期的に性交渉を持っていた生徒に対する学校側の退学処分について、不当とする判決を言い渡しました。
このような時代の変化を反映し学校側は今回、改正案を発表しました。
改正案の内容は
学校の外での飲酒、喫煙、異性との交際を認める。結婚禁止は維持するが、婚約は学校の承認のもとで認める方針だ。また道徳的、法的に問題とならなければ学校の外での異性との性関係も認める。異性交際は品位を維持し、軍の紀綱をそこなうことの無い水準で許す。酒とタバコは休暇、外泊の際に私服着用の際だけ認める。
そして12日に、陸軍関係者、士官学校の教授、生徒、父母など300人が参加する公聴会が開かれました。その席ではこんな意見が大半を占めたといいます。
3禁制度は時代錯誤的な制度のように見えますが、この制度のおかげで死を覚悟し、本能を抑制し、修練できるのです。それを指揮官の裁量に任せて3禁制度を部分的に緩和することは制服を着た生徒に対し二重の尺度を求めるものであり、3禁制度は現在のままで維持されるべきです。
制服を着てミョンドンでタバコを吸い、清涼里市場で焼酎を飲んであばれ、女友達とモーテルに入っていく姿を国民はどう評価するでしょう。3禁制度が社会的な通年と一部相反する面があったとしても守りぬくことが大切だと思います。
一方で女性団体の関係者は
国防の神聖な義務と学業に忠実であるために女性を近づけないというのが、3禁制度が導入されたときの暗黙の同意でした。禁結婚、異性交際の禁止は士官学校が女性禁制の時代に導入され現在まで存続しているものです。しかし士官学校に女子生徒も入学している現在、禁結婚、または異性交際を禁じると言うのは問題も多いと思われます。
と主張しました。
さてこの時代錯誤的とも思われる3禁制度、どうなるのか。改正されるのか、それとも規律に厳しい陸軍士官学校の伝統がこのまま守られるのか、注目されます。