マル秘社会面でもご紹介した話ですが、今月10日にこんなニュースが流れました。
ソウル市内の龍山(ヨンサン)とヨイドに大企業による新しい免税店が建てられることになりました。関税庁は10日、免税店競争入札結果を発表しました。
それによりますと、ソウル市内の大型免税店の新しい事業者に、現代(ヒョンデ)産業開発とホテル新羅(シルラ)によるHDC新羅免税店と、韓火ギャラリアタイムワールドが選ばれました。HDC新羅免税店は、ソウル市龍山(ヨンサン)区のアイパークモールの中のおよそ6万5000平方メートルの空間に、韓流公演場や観光広報館、食堂などを備えた大型ショッピングタウンを設けることにしています
龍山駅が観光の町へと変身しようとしています。しかし龍山駅にはじつにいろいろな顔がありました。今日はその龍山駅の変遷の歴史をご紹介します。
龍山駅は1900年に京仁線の駅としてスタートし仁川から龍山までの貨物輸送を主に担当するようになります。
その後、龍山駅が1回目の変身を遂げるのは1970年代のことです。忠清南道論山市にある陸軍訓練所に向かう列車がここから出発したからです。いわゆる、入営列車です。1971年10月26日の新聞記事です
この日、龍山駅には入営する学生たちを見送りに来た大学教授、学生、家族など600人余りが集まり、出発する学生らを慰めた。出発する友人を取り巻き校歌と応援歌を歌い士気を高め、別れの歌を歌い別れを惜しんでいた。
龍山駅にはいまだに論山など全国の訓練所に向かったり、あるいは訓練所から全国の部隊に移動する兵士たちの乗った列車が通過します。しかし昔のような悲壮な雰囲気はなく、ここから入営のための列車が出発することもありません。
そして1980年代の後半、龍山駅は2回目の変身を図ります。電子タウンへの変身です。
1987年7月龍山電子商店街がオープンします。 当時、清渓川(チョンゲチョン)の世運(セウン)商店街に入居していた電子機器販売店が龍山に引っ越したことを機に、この地域は韓国を代表する電子機器市場に変わり始めます。
特に1990年代にパソコンの需要が増加し、組立パソコンを販売する店舗と、ソニー、アイワ、パナソニックなど日本電機メーカーのウォークマンやCDプレーヤーを輸入して販売する店舗を中心に、龍山電子商店街の利用客が増え始め、2000年代にオンライン通販が登場するまで、龍山電子商店街は全盛期を迎えた。
龍山電子商店街で30年以上、家電製品を販売しているカン・ピョングさん、70歳はこんな風に話しています。
「結婚を控えて買い物に来る人が多かったです。新婚夫婦がやってきて電話機から冷蔵庫まで30種類近い家電製品を一度に買っていきました。マージンを少しづつとっても一日に 20-30万ウォンほどもうけました。ソウルオリンピックの時にはVTRが売れに売れて、在庫が追いつかないほどでした」
龍山電子商店街の全盛期は IMF通貨危機の後にも続きました。リストラで会社を去ることになったサラリーマンがPCバンと呼ばれるネットカフェを始める人が多かったからです。そしてPCと共に、スタークラフトなどのゲームとそのソフトが龍山で流通し始めます。電子ランドの関係者は
「2000年代の初めまで車が一日に最大4500台以上売り場を訪れ、1500台駐車可能な駐車場がいつも満車でした。車が道にも列を作り警察が交通整理をするほどでした」
それがオンライン通販の登場で、人々は龍山まで行かずに自宅で買い物をするようになってしまいます。
その後、龍山駅は「開発」を象徴する都市となります。高速列車のKTXの運行が開始され、龍山駅の駅舎は2005年デパート、ディスカウントストア、複合型ショッピングモールなどを一つにした大型ショッピングタウン(現代アイパークモール)に生まれ変わります。2011年には駅前に並んでいた娼婦街も消えました。
そして次は観光の町です。免税店の登場できっとたくさんの外国人観光客が訪れることになるでしょう。3回目の変身を図る、龍山駅、目がはなせません。