第20代国会議員選挙を前にし、基督自由党が話題を呼んでいます。
基督自由党は先月創設されたばかりの政党で、元共に民主党の李潤錫議員が入党したことで国会で議席を有することになりました。同党はキリスト教右派を基盤としており、差別禁止法、同性愛、イスラム教の国内進出などに反対の立場をとっています。モデル出身のタレントソ・ジョンヒさん(牧師でもあるコメディアンソ・セウォンさんとのDV離婚で大きな話題を振りまいた)が広告塔となって選挙運動に参加しており、彼女は同性愛反対のほかに姦通罪の復活も訴えています。
今回の選挙戦はこれまでと違い、同性愛に関する話題が豊富であることが特徴といえるでしょう。共に民主党から立候補しているピョ・チャンウォン候補(元警察大学校教授)が以前ブログでレディー・ガガの訪韓公演中止を主張した韓国キリスト教総連盟を批判したことに関し、セヌリ党の金武星候補(現職)が「ピョ・チャンウォン候補はまともではない。こういう人物が政治をすることを許してはならない」と激しく非難。ピョ候補はこれに対し、「行き過ぎた蔑視は望ましくないと言っただけである」と反論しました。また、そこに、 基督自由党が同性愛だけでなく姦通罪の廃止にも反対するとして、超保守的な立場を表明した形です。
韓国でも日本と同様、政教分離が原則であるとともに憲法上宗教の自由が保証されており、また、性的指向の自由は人権として認められるべきだとの見方が広まりつつあります。しかし、与党が同性婚ではなく同性愛自体を批判したり、その他野党が宗教弾圧を示唆する立場を表明したりすることにあまり違和感を持たれない背景には、昔からの儒教的な考えが根づいているとともに、宗教を基にした考えが世間で受け入れられていることがあるでしょう。このような状況が変わらないかぎり、まだまだ韓国はあらゆる意味での少数派にとっては暮らしにくい国のままなのかもしれません。