政府が先月、「デジタル性犯罪」対策を推進すると発表し、話題になっています。
デジタル性犯罪とはデジタル機器を用いた性犯罪のことで、その内容は盗撮行為や撮影対象者が望まない動画の配信など、多岐にわたります。この言葉が使われるようになったのは、昨年、「デジタル性犯罪アウト」という団体(昨年、リベンジポルノアウトから名称変更)の主導で当時韓国最大だったアダルトサイト「ソラネット」が閉鎖に追い込まれた頃からで、一般的に定着したのはつい最近です。日本でもリベンジポルノが問題になっていたのと同様に、韓国でもリベンジポルノをはじめ盗撮された画像がインターネット上で公開されるなどの事件が相次ぎ、社会問題化していました。ともに民主党のクム・テソプ議員が公開した資料によると、昨年盗撮で摘発されたのは5,640人。2011年に1,314人だったのに比べ4倍以上になっています。
こうした問題に対し、文寅仁大統領は8月の国務会議で、盗撮防止と被害者保護のための措置が必要であると提案。そして先月26日、▲盗撮用カメラ販売規制(変形カメラ輸入、販売者の登録制度導入)▲違法映像遮断(動画の配信停止を捜査機関が要請すれば、即時に放送通信委員会が削除する「ファーストトラック制度」を導入。被害者からの申請に対しても、これまで10日かかっていた審査を3日に短縮)▲犯罪防止教育の実施(性犯罪防止教育にデジタル分野に特化した内容を追加)……を骨子とした「デジタル性犯罪被害総合対策」を発表しました。また、このほかに、デジタル性犯罪に関する罰則規定から罰金刑を削除し、懲役刑のみにする方針であると明らかにしました。
デジタル性犯罪の広まりを受けて、配信された動画や画像を削除する「デジタル葬儀社」や、盗撮器などが設置されていないか調べる「盗撮カメラ探知専門家」など、民間でも新たなビジネスが誕生しています。デジタル性犯罪は、政府の対応に頼るだけでなく、自分の身は自分で守るということが大切なのかもしれません。