メニューへ 本文へ
Go Top

文化

仏具を通じて観客の心をいやしてくれる打楽器のパフォーマンス「テムス」

2013-07-16



ノンバーバル・パフォーマンスはセリフではなく、楽器のリズムやダンス、武術など、さまざまなパフォーマンスでストーリーを展開していく公演です。ソウル鐘路区(チョンノ)区にある、韓国仏教歴史文化記念館では、今、他の舞台では見られない、ちょっと特別な打楽器のノンバーバル・パフォーマンスの「テムス」が公演されています。「テムス」は仏教の儀式で使われる打楽器とお寺の日用品を使ったパフォーマンスを披露しているのです。

お寺にある道具や小物は、本来、世のため、多くの人のために使われなければなりません。しかし、こうした物が世間に出ることはほとんどなく、寺でしか見られません。また、一般の人たちにとっては近寄りがたいイメージがあります。「テムス」は、仏教用の打楽器や寺の日用品が本来の役割を果たせるよう、公演の舞台に移した作品といえます。

打楽のパフォーマンス「テムス」に登場する仏教用の打楽器や道具はざっと26種類あります。木鐸(ぼくたく)をはじめ、座禅を組む時などに使われる竹の棒の竹箆(しっぺい)や鐘の梵鐘(ぼんしょう)、寺に備える太鼓の法鼓(ほっく)、庭を掃くホウキや台所の食器まで、いつもは厳かな雰囲気をかもし出していた道具が公演の舞台ではリズミカルな音を作り出す楽器に変身します。

仏教儀式に使われる楽器には、その響きで仏の教えを伝え、同時に邪気を退けようとする意味が込められています。法鼓は大きな面が2メートルもある太鼓で、その響きには地上のあらゆる生命が苦しみを脱ぎ捨て、幸せになれるよう願う心が込められています。中が空洞になっている魚の形をした木魚の音には水に棲む生物の幸せを願う気持ちも込められていますが、もう一つ、眠っている時も目をつぶらない魚のように熱心に修行にまい進するように、という意味があります。お寺といえば思い出す木鐸は木魚を小さくしたものといえます。水中生物の幸せを願い、修行に専念するようにという意味で木鐸を叩きます。木魚や木鐸の音を聞きながら修行に集中していても雑念をすべて振り払うことはなかなかできません。そんな時に登場するのが、竹の棒、竹箆です。こうしたさまざまな仏具が一つになって、ノンバーバル打楽パフォーマンス「テムス」が完成します。

「テムス」の舞台となるのはテンプルステイが行われるお寺です。テンプルステイは自分の内面を顧み、心身をいやすために参加するものですが、「テムス」の主人公たちは、お寺に盗みに入るためにテンプルステイを申し込みます。6人の泥棒は6つの欲望を表し、さまざまな楽器や仏具の響きが6人の欲望を巧みに表します。

結局、泥棒たちは目的の仏像を盗み出すことができません。しかし、その際、仕方なく参加した座禅などの修行を通じて6人の泥棒はお金だけを追って生きてきた人生のはかなさを悟り、ひとつずつ欲望を脱ぎ捨てることができるのです。

打楽器のパフォーマンスを通じて、「テムス」が伝えたかったメッセージは、いやし、ヒーリングです。仏教の儀式やお寺で使われていた楽器や道具は舞台にのせられ、演奏されることで、より多くの人とふれあい、彼らをいやすヒーリングの響きを出すことができるからです。心の安らぎを求めてお寺を訪れ、テンプルステイに参加するように、打楽器の公演「テムス」は楽しい公演の中で自分を顧み、いやすことができるヒーリング・パフォーマンスとして注目されています。

おすすめのコンテンツ

Close

当サイトは、より良いサービスを提供するためにクッキー(cookie)やその他の技術を使用しています。当サイトの使用を継続した場合、利用者はこのポリシーに同意したものとみなします。 詳しく見る >