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文化

大人をも感動させる子ども劇「白雪姫を愛した小人」

2014-02-25

童話、アニメ、映画など、さまざまなジャンルの「白雪姫」。韓国にも白雪姫をモチーフに、2001年から現在までロングランを記録している演劇作品があります。「白雪姫を愛した小人」です。

演劇「白雪姫を愛した小人」の主人公は、白雪姫ではなく、言葉が不自由な、7人目の小人「パンダリ」です。山奥に逃げてきた白雪姫と出会った7人の小人たち。7人目の「パンダリ」は美しい白雪姫に恋心を抱きます。白雪姫に寄せるパンダリの純粋な心を通して観客は本当の愛について考えさせられます。好きな気持ちをそのまま表現する欧米とは違って、韓国では、口に出せない、切ない片想いに共感する傾向があります。演劇「白雪姫を愛した小人」は、誰もが知っている「白雪姫」のストーリーに韓国らしい解釈を加味して、さりげない、それでいて切ない恋物語を描いています。



2001年5月にスタートした演劇「白雪姫を愛した小人」は子ども劇なのに、大人も感動させる公演として話題になりました。初演から現在まで13年間、公演した回数は2800回あまり、80万人以上の観客を動員し、今は韓国を代表する演劇として、「国民の演劇」の一つとも呼ばれています。そして、初演から13年目を迎えた今年、「白雪姫を愛した小人」はミュージカル作品に脚色され、舞台で披露されました。

「白雪姫を愛した小人」の公演は、恐ろしい継母から逃げ出した白雪姫が7人の小人と出会うシーンから始まります。白雪姫といっしょに暮らすことになった7人の小人たち。白雪姫に一目惚れしてしまう7人目の小人「パンダリ」は言葉が不自由なため、挨拶の代わりに自分の好きな花、カスミソウを差し出します。恥ずかしがりやで力もないパンダリですが、白雪姫が危険にさらされると、いつも命がけで彼女を守ります。しかし、パンダリの恋は片想いのまま終わります。王子とともに去って行った白雪姫を忘れられないパンダリは病気になり、カスミソウ畑で最期を迎えます。いつの間に3人の子どもの母親になった白雪姫。偶然見つけた魔法の鏡に向かって、この世で一番、自分を愛してくれる人は誰かと問いかけます。白雪姫の質問に、魔法の鏡は「カスミソウ畑に眠っているパンダリ」と答えます。自分の言葉では伝えられなかったパンダリの気持ちを魔法の鏡が打ち明けた瞬間、舞台の背景はカスミソウ畑に変わり、幸せそうな顔のパンダリが登場します。



パンダリの愛は悲劇で終わりますが、観客はこの悲劇的な恋にいやされているのです。現代の人々は誰もがいやされたいという願いを持っています。いやされたいという気持ちは傷つけられたくないという気持ちに通じます。恋をする時も悲劇で終わりそうになると逃げてしまうことが多くなります。一方、パンダリは結果は考えず、愛する人を守るために命懸けで戦います。現実の世界ではそんな恋をする機会がなくなってしまったため、劇中のパンダリの姿、その純粋さに感動し、涙を流すのです。

子ども劇「白雪姫を愛した小人」は子どもたちのために作られた美しい白雪姫の話です。その一方で、その裏に隠されたパンダリの純粋な愛は大人の心に響き、本当の愛について考えさせるきっかけになっているようです。

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