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文化

漫画を通して旧日本軍慰安婦問題を訴える慰安婦漫画展「しおれない花」

2014-03-04

フランス西部にあるアングレーム市は人口4万の小さな都市ですが、毎年1月になると、世界各国から大勢の人が集まってきます。恒例の国際漫画フェスティバルが開かれるのです。

今年もアングレーム国際漫画フェスティバルには世界中から大勢の漫画ファンと関係者が押し寄せました。そんな中、注目を集めたのは韓国館でした。2014年は第1次世界大戦の勃発から100年目に当たる年です。これに合わせて、今年のアングレーム国際漫画フェスティバルは戦争が人類に及ぼす弊害や反省などに焦点をあてて開かれました。韓国館では今だ癒えないままの旧日本軍慰安婦問題を漫画を通して訴える慰安婦漫画展「しおれない花」が開かれたのです。

旧日本軍慰安婦問題は、1991年、被害者の一人だった故キム・ハクスンさんの証言がきっかけとなって大きく取り上げられるようになりました。残念なことに、最初の証言をしたキムさんは訴えが認められないまま、1997年に亡くなりました。現在、韓国政府が認定した慰安婦被害者のうち、生存者は55人に過ぎません。旧日本軍慰安婦問題は、被害者による証言がある一方で、今なお未解決の状態なのです。

アングレーム国際漫画フェスティバルの慰安婦漫画展「しおれない花」で展示されたのは漫画、映像など24点。その数は多くありませんが、会場を訪れた人たちに強い印象を残しました。日本軍慰安婦としてインドネシアのジャワ島に連れていかれた故チョン・ソウンさんの肉声がそのまま使われた11分のアニメーション「少女の話」。外国人の観客は慰安婦だったおばあさんたちの話に耳を傾け、涙を流す人も見られました。4日間にわたって開かれた漫画フェスティバルで韓国館を訪れたのは予想をはるかに越えた1万7千人あまりでした。



アングレーム国際漫画フェスティバルで好評を得た慰安婦漫画展「しおれない花」は、2月18日からソウルの近郊、京畿道(キョンギド)富川(プチョン)の漫画博物館でアンコール展示会が開かれています。アンコール展示会ではアングレーム国際漫画フェスティバルの様子とともに、展示会で紹介された作品がすべて展示されています。

展示室に入ると、慰安婦漫画展のテーマでもある「しおれない花」という、砂時計を展示した空間全体を3次元で表現するインスタレーション作品が目に飛込みます。戦争という川は砂時計のように時間を止め、砂のように涙と傷が積もっていきます。砂時計は引っくり返すことができますが、悲劇の歴史を繰り返してはならないという意味で、一度落ちた砂は戻らないようになっていて、砂があったところに希望を意味する花が咲くように作られています。亡くなった元慰安婦のあばあさんたちの顔を描き、黒いリボンをかけた象徴的な作品「その日が来たら」、旧日本軍の戦闘機がおばあさんたちを戦場に落とす場面を風刺して描いた「無題」、両手で顔を覆って泣き続ける少女を描いた「終わらない道」など、慰安婦漫画展「しおれない花」に展示された作品は慰安婦問題について無関心だった人たちに悲劇の深さを訴えています。



フランスの小さな都市、アングレームで開かれた慰安婦漫画展は、慰安婦問題について知らなかった人々に悲劇の歴史を伝え、国際的な関心を呼び起こしました。一般に、漫画は軽く、面白いだけのジャンルと思われてきました。しかし、元慰安婦だった人の話を韓国だけではなく、国際的に訴えることができたのは漫画だから可能だったのかも知れません。漫画は歴史的問題や社会問題でも大きな役割を果たすことができるのです。

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