政府が掲げる権力機関の改革の一環としての警察法の改正案が国会で成立し、来年から、自治警察制度が導入されるなど、警察組織が大きく変わることになります。
警察法の改正案は、9日に国会本会議で可決され、来年から、警察組織が、国家警察と自治警察に分離され、新たに国家捜査本部が発足します。
国家警察は、これまでのように警察庁長の指揮の下で、セキュリティや外事、警備などの業務を担当し、自治警察は、市・道の自治警察委員会による指揮・監督の下で、住民の安全や、交通管理などを担当します。新たに設置される国家捜査本部は、警察捜査を担当します。
金昌龍(キム・チャンリョン)警察庁長は16日、会見を開き、今回の改正について、「警察の業務を、国家警察、捜査警察、自治警察に振り分け、権限の乱用を防ぐためにある」と説明しました。
一方、政府が掲げる権力機関改革によって、かえって警察の権限が肥大化する結果をもたらしたとする指摘も出ています。
ことし1月に可決された刑事訴訟法改正案と検察庁法改正案によって、来年からは、警察に対する検察の捜査指揮権が廃止され、警察に1次的な捜査終結権が与えられるほか、今月13日に可決された国家情報院法改正案によって、スパイ活動など共産主義活動の捜査を行う対共捜査権が2023年にも警察に移管されることから、警察の権力が肥大化することになり、警察改革の趣旨に反する結果をもたらすだろうと批判する声が強まっています。
このような批判について、金庁長は、「警察権力の肥大化を懸念する声があることをよく知っている」としながらも、「これまで警察庁長に集中していた権限が分散され、分権体制が整えられることになる」として、法改正の意義を改めて説明しました。
そのうえで、警察に対し内部と外部からけん制できるよう、警察委員会などの権限を強化するほか、事件審査市民委員会を作り、市民の参加を制度化するとして、警察に対するけん制を強化するため取り組む姿勢を示しました。