北韓の外務省が韓国人の訪朝を認めないと表明したことを受けて、訪朝を希望していた現代(ヒョンデ)グループの会長が計画を撤回しました。
現代グループは、1998年に北韓の景勝地・金剛山(クムガンサン)で観光事業を開始し、韓国人観光客の間で人気を集めましたが、2008年に観光客1人が北韓軍に撃たれて死亡して以来、事業を中断しています。
韓国のメディアは先月30日、金剛山(クムガンサン)での事業の立ち上げに尽力した現代グループの鄭夢憲(チョン・モンホン)前会長の死去から20年となる8月に、妻で現会長の玄貞恩(ヒョン・ジョンウン)氏が現地を訪れることを希望していると報じました。
メディアはまた、玄会長が南北経済協力事業の北韓側の窓口と接触するとの届け出を先月27日に韓国の統一部に出したと伝えています。
これに対し、北韓の外務省は今月1日、談話を発表し、「韓国側からはいかなる人物の訪問についても通知を受けておらず、検討する意向もないことを明確にする」と強調したうえで、韓国人の入国をこれまで通り認めない方針を明らかにしました。
北韓から訪問を拒否されたことを受けて、玄会長は3日、計画を撤回しました。
北韓は、南北関係のこう着状態が続くなか、金剛山にある現代グループの施設を無断で撤去しており、北韓が玄会長の訪朝を許可する可能性は低いとみられていました。
統一部の具炳杉(ク・ビョンサム)報道官は3日の定例会見で、「動向を見守りつつ、北韓の意図を総合的に分析する」と話しています。