スイスのジュネーブで開かれている国連人権理事会に国連の特別報告者による報告書が提出され、2015年に韓国と日本の政府間で結ばれた慰安婦合意を見直すことが勧告されました。
去年韓国を訪れた、国連の真実,正義,賠償、再発防止の促進に関する特別報告者のファビアン・サルビオリ氏は現地時間の13日、スイスにある国連ジュネーブ事務局で開かれた国連人権理事会の会議で、2015年の韓日慰安婦合意の見直しを勧告する内容を盛り込んだ報告書を発表しました。
報告書のなかで、サルビオリ氏は「韓国政府は日本政府との交渉で、被害者の救済のための権利の増進に向けた人権的アプローチが足りなかった」と指摘しました。
また、旧日本軍の性奴隷制から生存した被害者らが、国際基準にしたがって賠償や再発防止措置の保障を受けられるよう、韓日政府間で2015年に行われた慰安婦合意を見直すよう勧告しました。
一方、慰安婦被害者支援団体や人権団体などは、韓国政府が、サルビオリ特別報告者の報告書に関して国連人権理事会に提出した意見書に「日本政府は慰安婦被害者に対して公式に謝罪し、加害の事実を認めた」という内容が盛り込まれていたとして反発しています。
ところで、2015年12月28日、当時の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相と岸田文雄外相が会談後の共同記者会見で発表した合意文によりますと、日本側は、日本政府は慰安婦問題について責任を痛感し、安倍総理大臣は日本国総理大臣として改めて苦痛を受けた元慰安婦に対して、心から反省とお詫びの心を表明するとし、また、日本政府の予算で、すべての元慰安婦の心の傷を癒す措置を取ることにし、具体的には、韓国政府が慰安婦支援を目的に財団を設立すれば、これに日本政府予算で10億円余りを拠出するとしました。さらに、両国は今後、この問題で国連などでの相互批判を控えるとしました。