韓国電力の財政難が深刻化する一方、アメリカからは韓国の安い電気料金が製造業における不当な競争につながっていると批判が出ているなか、韓国電力は、産業向けの電気料金を9%近く引き上げます。
韓国電力は8日、産業向けの電気料金について、9日から値上げすることを発表しました。
大手事業者が使う電気料金は、1キロワットあたりの平均価格が、現行の118.7ウォンから129.3ウォンに10.6ウォン、率にして8.9%引き上げられます。
対象となる大手の事業者は、契約者の数では全体の0.2%に過ぎませんが、使用する電力は全体の半分近くを占めていて、今回の値上げで、韓国電力の赤字が、ある程度、解消されるものとみられます。
おととしの下半期から国際エネルギー価格が急騰し、燃料費が高止まりしていましたが、原価の高騰を価格に反映できなかった結果、韓国電力のことし上半期までの累積赤字はおよそ 47兆ウォンに達し、電気料金の引き上げが避けられない状況となっていました。
韓国電力は、今回の料金引き上げによって、ことしは4000億ウォン、来年は2兆8000億ウォンの収益の増加が期待できるとしています。
国際エネルギー価格の上昇を消費者価格に反映しない政策は、文在寅(ムン・ジェイン)政権時から続いていて、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権も、物価高のなか、消費者の負担を増加させることに消極的で、電気とガスの公社の財政が悪化しています。
今回も、一般家庭や自営業者向けの電気料金は、据え置かれました。
一方、韓国の電気料金は、OECD=経済協力開発機構に加盟する国の平均と比較して低い水準となっていて、アメリカの商務省は、先月、韓国の産業用の電気料金が低いことが鉄鋼業界に対する事実上の補助金になっているとして、韓国製の鉄鋼製品に追加の関税を課しています。