韓国の鉄鋼大手ポスコは、浦項(ポハン)製鉄所の円筒形の材料を作る第1線材工場を19日に閉鎖しました。
ポスコはことし7月にも浦項製鉄所の第1製鋼工場を閉鎖していて、鉄鋼の世界的な供給過剰などを踏まえた決定だということです。
線材の世界的な生産能力は去年、およそ2億トンでしたが、需要は9000トンに過ぎませんでした。
なかでも中国の線材を作る施設の生産能力は、およそ1億4000万トンに達しますが、中国国内の建設業の不振に伴い、中国での需要が減っているため、周辺国に低価格で輸出し、線材価格の世界的な下落が続きました。
こうした影響で韓国でも、海外からの安い線材製品の輸入が続き、市場価格が下落しました。
ポスコは、設備の老朽化や鉄鋼市場における供給過剰、市場価格の下落などを踏まえ、低コスト重視の供給を減らす方向で、工場の効率化を決定しました。
浦項第1線材工場は1979年に稼動を開始し、45年間で累積2800万トンの線材製品を生産しました。
これまで第1線材工場で生産していたタイヤなどの補強材として使われる高強度タイヤコードをはじめ、船舶や自動車向けの溶接棒などについては、第2から第4工場で生産する計画です。
ポスコは今後、低価格重視の割合を減らし、自動車用の高強度のボルトやスプリング鋼、ベアリング鋼など高付加価値の製品に集中し、生産と販売を再編成する方針です。