尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による「非常戒厳」の宣布と解除が行われて迎えた4日、韓国の株式市場は、懸念されていた暴落は免れたもようです。
非常戒厳が早期に解除されたほか、金融当局が市場の安定に向け総力を挙げて対応すると宣言したことが影響したものとみられます。
ただ、韓国の景気低迷の兆候や外国人投資家の離脱に加え、政治的不確実性という大きな悪材料が重なったことで、株式市場の低迷は当分避けられないものとみられます。
KOSPI=韓国総合株価指数は、4日午前の時点で前日より最大2.31%下げて2442.46まで下落しましたが、終値は前日より36.10ポイント下がった2464で取り引きを終え、1.44%の下落にとどまりました。
有価証券市場でも、外国人投資家は、3000億ウォン台の売り越しとなりましたが、最近の流れと大差はありませんでした。
国会で非常戒厳の解除を求める決議案が可決されことを受け、尹大統領が非常戒厳の宣布から6時間後に解除し、事態が早期に解決したことが影響したものとみられます。
ニューヨーク証券取引所では、金融派生商品であるKOSPI200夜間先物オプションが非常戒厳の宣布を受けて急落しましたが、解除してすぐに下落幅が小さくなり、1.8%の下落で取引を終えました。
韓国の崔相穆(チェ・サンモク)経済副総理兼企画財政部長官は4日、記者会見し「株式・債券・短期資金・外貨資金市場が完全に正常化するまで、流動性を無制限に供給する」として資金を供給することを明らかにしました。
証券市場では、「非常戒厳が早期に解除されたため、昨夜の韓国の金融市場の変動性の拡大は、ハプニングで終わる可能性が高い」としたうえで、「韓国政府も金融市場の安定化に向けて取り組んでいる」と説明しました。
ただ、今回の事態が、韓国経済の更なる鈍化と中長期の経済成長の低下につながる可能性があるとの指摘もあります。