尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の「非常戒厳」をめぐっては、宣言前の閣議の議事録がないことがわかりました。また「非常戒厳」の宣言に関する会議も5分間でした。
韓国の憲法第77条「戒厳法」では、大統領が閣議決定を経て戒厳令を宣布するものと定めています。
行政安全部は11日、「非常戒厳」の宣言と解除に関連し、大統領室に要請した閣議の資料の返信を受けたとして、その内容を公開しました。
それによりますと、「非常戒厳」に関する会議は、宣言直前の3日午後10時17分から22分までの5分間、大統領室の接見室で開かれました。
会議の案件は「非常戒厳宣布案」で、案件提案の理由は「憲政秩序を維持するため、3日午後10時付けで非常戒厳を宣布するもの」と記されていました。
ただ、大統領室は、会議の参加者の発言を記録した議事録は「保有していない」と明らかにしたということです。
当時、会議に参加したのは、尹大統領をはじめ、韓悳洙(ハン・ドクス)国務総理、崔相穆(チェ・サンモク)経済副総理兼企画財政部長官、趙兌烈(チョ・テヨル)外交部長官、金暎浩(キム・ヨンホ)統一部長官、朴成在(パク・ソンジェ)法務部長官、金龍顕(キム・ヨンヒョン)国防部長官、李祥敏(イ・サンミン)行政安全部長官など11人です。
また、「非常戒厳」解除に関する閣議は、4日午前4時27分から29分までの、わずか2分間、大統領室の閣議室で開かれました。この会議も「国防部長官の提案に関する説明のほか発言なし」とだけ記されていて、具体的な議事録は残っていません。
行政安全部は、国防部にも「非常戒厳」に関連する資料を要請しましたが、国防部からは「資料を作成しなかった」という回答が返ってきたということです。
一方、韓悳洙国務総理は11日、国会で開かれた緊急懸案質疑に出席し、「非常戒厳」について「反対の意思を示し、大統領を説得するために努力したが、防ぐことができなかった」として、国民に向け、頭を下げて謝罪しました。