尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による「非常戒厳」の宣布を巡り、再発付された拘束令状の有効期限が今月末の旧正月連休までになるとみられているなか、高位公職者犯罪捜査処による令状執行のタイミングが注目されています。
内乱などの容疑で尹大統領を捜査している高位公職者犯罪捜査処は先月31日、尹大統領に対する拘束令状をとって今月3日に執行を試みたものの、大統領警護処による妨害で失敗しました。このため、高位公職者犯罪捜査処は令状の期限となった6日に再請求を行い、7日午後に裁判所から再発付が認められました。
高位公職者犯罪捜査処は、今月3日の執行失敗以降、大統領警護処が一貫して協力を拒否していることなどから、執行のタイミングや方法を慎重に検討しているということです。
今回再発付された令状の有効期限は、前回の7日より長いとされています。
令状の有効期限について、高位公職者犯罪捜査処は9日、「執行を成功させるため、しばらくは機密情報として扱う」として、期限の詳細について明らかにしていませんが、今回再発付された令状の有効期限はおよそ3週間になり、今月末の旧正月の連休までになるとの報道が出ています。
高位公職者犯罪捜査処と捜査本部は、大統領公邸の進入ルートなど執行の方法や次の執行に投入する人員規模などの計画を確定し、執行のタイミングを見計らっているということです。
前回の執行が失敗した原因として、投入された人員の数などが指摘されたことを踏まえ、警察との連携を進めています。警察は、首都圏の麻薬犯罪捜査隊などに対し、捜査官を動員するよう命じました。
また、警察は大統領警護処に対する圧力を強化していて、公務執行妨害の疑いで前回の執行を阻止した26人の身元を公開するよう、大統領警護処に要請しました。
こうした中、大統領警護処の朴鍾俊(パク・ジョンジュン)処長が10日午前、警察に出頭しました。
警察は、今月3日、尹大統領に対する拘束令状執行を妨げたとして、特殊公務執行妨害の容疑で3度にわたり出頭を要請していました。
警察は朴氏から事情を聴いたうえで、拘束するかどうかを判断するとみられます。
朴氏は出頭の際、記者団に対して、「令状執行ではなく、現職大統領の身分にふさわしい捜査手続きが行われるべきだ」と述べ、令状執行に反対する考えを改めて示しました。
一方、尹大統領の弁護団はこの日、2回目の拘束令状発付を受け、「発付と同時に憲法裁判所に対し、国家機関の間で権限の有無などをめぐって争いがあるとき、判断を求める権限争議審判と効力停止仮処分申請を行った」と述べました。