全国各地で8日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾をめぐり、賛成派と反対派による大規模な集会が開かれました。特にプロテスタント系団体による弾劾反対の動きが広がりを見せています。
韓国南東部の大邱(テグ)では、東大邱(トンデグ)駅前の広場で、プロテスタント系団体「セーブ・コリア」が主催する弾劾反対集会が行われました。団体を率いるのはセゲロ教会のソン・ヒョンボ牧師で、20代・30代の若年層やプロテスタント信者らが多数参加し、警察の推計で5万2000人が集まりました。参加者は「尹錫悦大統領を釈放せよ」と訴え、弾劾反対のプラカードや韓国国旗、アメリカ国旗などを掲げました。
「セーブ・コリア」は今月1日にも釜山(プサン)で同様の集会を開き、その際には1万3000人が参加したとされています。
ソウルでは、プロテスタント系の団体「大韓民国パロセウギ(立て直し)国民運動本部」が光化門(クァンファムン)で大規模な集会を開催し、警察の推計で3万5000人が参加しました。この団体を率いるのは、「サラン第一教会」のチョン・グァンフン牧師です。
両団体は最近、尹大統領の弾劾に反対する集会を相次いで開催しており、韓国の宗教界で大きな影響力を持つプロテスタント系団体が、弾劾反対の動きに本格的に関与し始めた形となっています。
両団体はさらに、3月1日の独立運動記念日に合わせた連合集会の開催も検討しており、プロテスタントの元老とされるキム・ジンホン牧師がその調整役を務めているとみられます。キム牧師は保守系の「ニューライト全国連合」の常任顧問を務めており、最近ではソウル拘置所に収監されている尹大統領に聖書を送ったことが伝えられています。
一方、弾劾を支持する集会も全国各地で行われました。光州(クァンジュ)や昌原(チャンウォン)などの主要都市で集会が開かれたほか、ソウルの安国(アングク)駅付近にはおよそ1000人、景福宮(キョンボックン)駅付近にはおよそ5000人が集まり、尹大統領の即時罷免や与党「国民の力」の解散を求めました。
弾劾をめぐる対立が深まる中、3月1日にはさらに大規模な集会が開かれる見通しで、今後、政治的な緊張が一層高まるとみられます。