「非常戒厳」を宣言した韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾が妥当かどうかを判断する憲法裁判所は、今月25日に最終弁論を行うことにしました。
文炯培(ムン・ヒョンベ)憲法裁判所長権限代行は20日、10回目の弁論が終わった後、今月25日の午後2時から最終弁論を行い、双方の代理人による総合弁論と当事者の意見陳述を行う方針を示しました。
総合弁論は、弾劾訴追した国会側と尹大統領側にそれぞれ2時間が与えられますが、当事者の尹大統領の意見陳述には時間制限を設けないということです。弁論が終わった後、憲法裁判所の裁判官8人が判決宣告のための評議を行います。判決宣告期日は、2週間後の3月中旬になる見通しです。
一方、この日、弾劾裁判に証人として出席した韓悳洙(ハン・ドクス)国務総理は、「非常戒厳」が宣言された当時の状況を説明しました。
韓国務総理は、野党勢力による弾劾訴追の乱発や予算の削減などを批判し、「多数派による一方的な暴走は、民主主義の本質ではない」と主張しました。
ただ、「非常戒厳」が「戦時やそれに準じる非常事態」という非常戒厳の要件を満たしているのかについては、「裁判所と国民が最終的に判断すべきだ」としたうえで、「非常戒厳」が宣言された当時に行われた国務会議については、「形式的、実質的に問題があった」と述べました。
また、証人として出席した洪壮源(ホン・ジャンウォン)前国家情報院第1次長は、「逮捕対象リスト」の作成に関連し、「メモを作成した時間や場所などに一部混同があり、訂正する必要性を感じる」と述べました。これに対して、尹大統領は、「メモの問題は、私と電話で話したことを大統領が逮捕指示をしたと結び付けて内乱や弾劾工作を行ったと言っているものだ」と主張しました。
「尹大統領が『国会議員を引きずり出せ』と言った」と検察で供述した趙志浩(チョ・ジホ)警察庁長もこの日、証人として出席したものの、「刑事裁判中なので答えるのは難しい」として、ほとんどの質問に回答しませんでした。
一方、尹大統領の弁護人を務める石東炫(ソク・ドンヒョン)弁護士は、この日行われた弾劾反対の集会に参加し、「尹大統領は『早く職務に復帰し、世代統合の力で大韓民国を引っ張っていく』と述べた」と伝えました。