尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による「非常戒厳」の宣言が影響し、韓国の民主主義指数が、去年は、前の年より順位が10下がって、世界167か国のなかで32位と、過去最低だったことがわかりました。民主主義の度合いの分類も、「完全な民主主義」国家から 「欠陥のある民主主義」国家に格下げされました。
イギリスの経済誌「エコノミスト」の調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」が1日、発表した「2024年の民主主義指数」によりますと、韓国は10点満点の7.75点となり、順位は前の年より10下がって32位でした。
「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」は、2006年から、世界167か国を対象に、5つの項目で民主主義の発展水準を評価し、点数で表しています。今回の評価は2006年以降最も低く、わずか1年で0.34点以上の点数を下げた国は、167か国中8か国しかありません。
また、点数に応じた民主主義の度合いの分類も、8点以上の「完全な民主主義」国家から6点から8点の「欠陥のある民主主義」国家に格下げされました。
「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」は報告書で、「韓国の場合、『非常戒厳』の宣言とその後の政治的混乱を踏まえ、政府の機能と政治文化の点数を下方修正した」としたうえで、「尹大統領による『非常戒厳』の宣言は、議会と国民の間で二極化と緊張をエスカレートさせていて、その影響はことしも続きそうだ」と指摘し、「韓国の民主主義を巡る国民の不満が高まる恐れがある」と評価しました。
一方、国際社会でも民主主義の後退がみられています。世界平均は5.17点で、2006年に評価を始めて以来、過去最低となりました。
「完全な民主主義」国家に当たる25か国の国民は、合わせて世界の人口の6.6%で、12.5%を記録した10年前のおよそ半分に減少しています。
北韓は、点数と順位いずれも去年と同じ1.08点で、下から3番目の165位でした。