家計と企業が、銀行から借りた資金を不動産につぎ込んでいることが、韓国の経済成長を妨げているという分析が出ています。
韓国の中央銀行に当たる韓国銀行の金融市場研究チームによりますと、昨年末の時点で、不動産向けの貸出金残高は、民間の貸出金全体のおよそ50%にあたる1932兆5000億ウォンだったということです。
これは、2013年末に比べておよそ2.3倍増えたものです。
家計部門では、住宅担保ローンや、家賃を支払わない代わりに高額の保証金を預けて契約終了時にそのまま返してもらう「チョンセ」資金の貸出が、そして、企業部門では、不動産業向けの融資が大幅に増えました。
不動産向けに貸出が集中する原因としては、家計や企業の不動産投資、金融機関の金利収入を重視する営業などが挙げられています。
韓国の家計は、銀行からの借入をともなう住宅投資を増やし続けた結果、おととしの時点で、家計資産に占める不動産資産の割合は64%と、OECD=経済協力開発機構の平均の53%を大きく上回っています。
また、企業は、不動産市場の好況が続いたことから、関連企業が増え、その初期投資を外部資金に大きく依存したため、貸出需要が大幅に増加しました。
銀行は、金利収入に頼る収益構造上、安定した不動産担保中心の貸出を拡大する営業戦略に集中しています。
韓国銀行は、貸出が不動産部門にだけに集中すれば、資本生産性の低下や消費の冷え込みを招き、経済成長を阻む可能性があると指摘しました。
また、金融機関が不動産業向け貸出の拡大に安住し、革新を怠れば、韓国の金融産業の競争力が低下する可能性があると指摘しました。