韓国政府は、「非常戒厳」を宣言した尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が罷免されたことを受けて、大統領選挙の投票日を6月3日とすることを8日の閣議で正式に決定しました。選挙の当日は臨時の休日に指定されます。
今後、候補者登録は、5月10日から11日の2日間、公式の選挙運動は5月12日から6月2日まで、22日間行われます。また、海外での在外投票の期間は5月20日から25日まで、期日前投票は5月29日から30日となります。
今回の選挙で注目されているのは、世論調査でリードしている革新系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表を支持しない反対派の動きです。
世論調査機関「韓国ギャラップ」が4日発表した支持率調査によりますと、「野党による政権交代が行われるべきだ」とする意見は52%で、「与党が引き続き政権を担うべきだ」は38%にとどまりました。
しかし、野党に有利な状況にもかかわらず、将来の大統領候補としての支持率調査では、李代表の支持率がことしに入って35%前後にとどまり、「意見を留保」と回答した割合が38%に達しています。
また、尹前大統領の今後の動きも、選挙に大きく影響するものとみられます。
尹前大統領は今月6日、「自由と主権を守るために戦った国民の皆さんの道のりは韓国の偉大な歴史として残るだろう」と述べ、「皆さんのそばを守る」とコメントしました。
こうした尹前大統領の発言に対し、政界では、次期大統領選挙を控え、尹前大統領が、弾劾反対をした35%前後となっている保守層の結集を狙い、今後も政治的影響力を行使する意向を示したものと受け止めています。
現在、与党「国民の力」の公認候補を選ぶ党内選挙は、党員投票と国民を対象に実施した世論調査の割合が50対50となっているだけに、尹前大統領の支持層による影響力も少なくないとみられています。一方で、与党「国民の力」内部では、中道派を取り込むためには、尹前大統領と距離を置くべきだとの意見も出ています。