1948年4月3日から6年以上にわたり、済州島(チェジュド)の島民ら3万人が軍などに虐殺された「済州島4.3事件」の記録物が、ユネスコの「世界の記憶」に登録されました。
済州島では日本の植民地支配から解放後の1948年4月3日、南側だけでの単独選挙は南北分断を固定化するとして、島民の一部が武装蜂起をしました。これを受け、鎮圧を名目に本土から軍や警察、極右団体が送り込まれ、無関係な住民を含む島民らを6年以上にわたり拷問、虐殺しました。犠牲者は2万5000人から3万人と推定されています。
ユネスコは、フランスの現地時間の10日午後に開かれた執行理事会で、「済州4.3事件」の記録物「済州4.3アーカイブ」の「世界の記録」への登録を承認しました。
これにより、2018年から推進されてきた「世界の記憶」への登録は、7年越しの達成となりました。
今回、登録された「済州4.3アーカイブ」は、軍法会議の受刑者の名簿や獄中からの手紙、犠牲者や遺族の生々しい証言など、事件をめぐる真相究明や和解の過程をたどる1万4000件あまりの歴史的な記録が盛り込まれています。
ユネスコの国際諮問委員会は「済州4.3アーカイブ」について、「国家の暴力に立ち向かい真実を明らかにし、社会的な和解を成し遂げ、犠牲者の名誉を回復するための努力に光を当てる和解と共生に向けた地域社会の民主主義の実戦が成し遂げた成果だ」と評価しました。
今回の登録により、済州島は、ユネスコの「エコパーク」、「世界ジオパーク」、「世界自然遺産」、「無形文化遺産」に続き、「世界の記憶」にも登録され、「ユネスコ5冠」を達成しました。