韓国鉄鋼大手のポスコホールディングスと現代(ヒョンデ)自動車グループが、アメリカの関税措置など、急変する通商環境への対応に向けて連携することを発表しました。
両社は21日、「鉄鋼・2次電池分野の相互協力にむけた業務協約」を締結したと発表しました。
現代自動車グループ傘下の現代製鉄は、2029年までに、年間生産能力270万トンの製鉄所をアメリカに新設する計画ですが、ポスコホールディングスがこの建設プロジェクトに投資し、一部の製品を自社で販売することを推進するものとみられます。
現代自動車グループは、8兆5千億ウォンの事業費の半分を借入金で調達し、残りの50%は自社が保有する資金と外部からの投資で確保する計画でしたが、鉄鋼製品に対するアメリカの関税措置を受け、ポスコホールディングスもアメリカ国内での生産が必要となっていることから、両社で協力することを決めました。今後、投資家が増える可能性もあるだけに、投資の持分については、協議を進める方針です。
今回の提携を受け、ポスコホールディングスは、北米地域で初めて鉄鋼材の生産施設を設けることになりました。多くの自動車メーカーを取引先としているだけに、アメリカとメキシコ地域に鉄鋼材を供給できるようになると期待されます。現代自動車グループも、アメリカ国内に製鉄所を建設するのは、今回が初めてとなります。
現在、韓国の鉄鋼業界は、中国による過剰生産やEU=欧州連合などの先進国による環境関連の規制などで、厳しい状況に直面し、去年の営業利益は、前の年に比べてポスコホールディングスが38.5%、現代製鉄が60.6%、それぞれ減少しています。さらに、トランプ大統領による関税措置が追い打ちをかけたことを受け、両社が業務提携に踏み切ったものとみられます。
また、両社は、鉄鋼をはじめ、2次電池分野での協力を強化し、電気自動車市場への柔軟な対応を図る計画です。ポスコグループのリチウムや陽極・陰極材など、2次電池素材と現代自動車グループのモビリティ技術が融合した相乗効果が期待されます。