尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の刑事裁判が続くなか、文在寅(ムン・ジェイン)元大統領が収賄容疑で在宅起訴されたことで、韓国では大統領経験者2人が同時に同じ裁判所で刑事裁判を受ける事態が再び発生しました。
全州(チョンジュ)地方検察庁は24日、文元大統領を特定犯罪加重処罰法等に関する法律違反、すなわち収賄容疑でソウル中央地方裁判所に在宅起訴しました。
事件の主な発生地が旧大統領府青瓦台だったとして、ソウル中央地方裁判所に起訴したということです。
現在、ソウル中央地方裁判所では、去年12月の「非常戒厳」宣言をめぐり、内乱首謀の罪に問われている尹前大統領の裁判も行われています。
大統領経験者2人が同じ裁判所で同時に裁かれるのは、全斗煥(チョン・ドゥファン)氏と盧泰愚(ノ・テウ)氏、そして李明博(イ・ミョンバク)氏と朴槿恵(パク・クネ)氏に続いて、これで3度目となります。
全斗煥氏と盧泰愚氏は1995年12月21日に同時に逮捕、起訴され、同じ法廷で並んで裁かれました。
2人は、1979年12月12日にソウルで起きた「12.12軍事クーデター」と、1980年5月18日に民主化を求める光州(クァンジュ)の学生や市民が軍と衝突し、軍の発砲によって200人以上が死亡または行方不明になった「5.18民主化運動」をめぐる内乱および殺人の罪、そして、企業から数千億ウォンの裏金を受け取った収賄の罪に問われました。
朴槿恵氏は、親友による国政介入事件に続いて、2018年1月と2月に国家情報院から特殊活動費として金を受け取った収賄などの罪と、公認候補選びに介入した公職選挙法違反の罪で、李明博氏は同じ年の4月に収賄などの罪でそれぞれ起訴され、ソウル中央地方裁判所で裁判を受けました。
ただ、朴氏は2017年10月、親友による国政介入事件の裁判中に「ボイコット」を宣言し、以後出廷しなかったため、李氏と並んで出廷する場面は見られませんでした。
検察は、文元大統領の娘、ダヘ氏の元夫が、タイの格安航空会社=LCC、タイイースタージェットに役員として入社し、受け取った給与や住居費、2億ウォンあまりが、事実上文元大統領に対する賄賂にあたると判断しています。
これに対して文元大統領は、「尹前大統領の起訴と弾劾の報復にほかならない」と反発し、「検察の捜査権の乱用を問う機会としたい」と語っています。