韓国の経済成長率が予想を大きく下回るなか、政府系シンクタンクの韓国開発研究院(KDI)は、2041年からは韓国の潜在成長率がマイナスに転じる可能性があるという見通しを示しました。
韓国開発研究院は、ことしから2030年までの韓国の潜在成長率について、2022年に発表した見通しの1.9%から0.4ポイント下がって、平均1.5%にとどまるという見通しを示しました。
潜在成長率は、中長期の設備などの資本、労働力、生産性を最大限に使って到達できる成長率の見通しで、いわば経済の基礎体力を表す推計値です。
2030年以降も潜在成長率は低下を続け、2030年代には0.7%、2040年代には0.1%と、2022年に発表した見通しよりそれぞれ0.6ポイント低くなると見込みました。
韓国開発研究院は、こうした背景として、人口構造の変化を最大の要因に挙げています。
世界金融危機以降、労働生産性の伸び率の鈍化を、労働投入によって補ってきましたが、今後はその効果も期待しにくくなると分析しています。
また、米中対立の激化や経済の構造改革の遅れといった悲観的なシナリオを適用する場合、2041年以降には潜在成長率がマイナスに転じる可能性があるとしています。
韓国開発研究院は、成長率を高めるためには、経済の構造改革や経営革新など、「全要素生産性」の改善が急務だと指摘しています。
加えて、仕事と家庭の両立への支援や高齢者の経済活動の促進といった、労働力人口の減少への対策も求められるとしました。