尹錫悦（ユン・ソンニョル）前大統領夫妻の側近とされる全成培（チョン・ソンベ）容疑者が、旧統一教会＝世界平和統一家庭連合の元幹部から受け取った高級ブランドバッグを、金建希（キム・ゴニ）夫人の秘書に渡していたことが、検察の調査でわかりました。
 
ソウル南部地方検察庁は、大統領選直後の2022年4月から8月の間に、全容疑者が受け取ったおよそ1000万ウォン相当のシャネルのバッグが金夫人の秘書に渡され、そのあと、追加の金額を支払ってより高価なバッグなどに交換されていたことを確認したと21日、発表しました。
 
また、6000万ウォン相当のダイヤモンドのネックレスなどの贈り物も渡されたとみられています。
 
検察は、旧統一教会の元幹部側がカンボジアでのODA=政府開発援助事業を受注できるよう働きかけを要請する目的で、全容疑者に金夫人への手渡しを依頼したとみていて、その後、尹前政権がカンボジア向けの融資枠を従来の7億ドルから15億ドルへと倍増させた点にも注目しています。
 
これに対して、金夫人側は、「秘書による単独の行動だ」として、疑惑を否定しています。
 
法曹界の関係者は、「高級品が実際に金夫人に渡っていたことが確認されれば、金夫人だけでなく、尹前大統領への捜査にも波及する可能性がある」と指摘しています。
 
一方、金夫人をめぐっては、この疑惑のほかにも、輸入車ディーラーの「ドイツ・モーターズ」の株価操作事件に関与した疑惑や与党の公認候補選びに不正介入した疑惑などがあり、検察が捜査を続けています。