アメリカ政府による関税政策により、50%の関税が課されることになった韓国の鉄鋼産業を後押しするため、与野党の国会議員が共同で特別法を発議しました。
今回、アメリカとの関税交渉が妥結したことを受け、韓国からアメリカへの輸入品に15%の相互関税が適用される一方で、鉄鋼製品に対しては、「関税割当制度(TRQ)」によって、定められた数量の範囲内であれば無関税での輸出が可能でしたが、今月8日からはすべての鉄鋼製品に対し、50%の関税が一律に課されることになりました。
韓国貿易協会によりますと、韓国は去年の時点で、鉄鋼輸出額332億9000万ドルのうち、13.1%にあたる43億4700万ドルがアメリカ向けで、韓国にとって、アメリカが最大の輸出先となっています。
このような状況を受け、与野党の国会議員106人は4日、鉄鋼産業の保護を柱とする「K‐スチール法」を共同で発議しました。
大統領直属の「鉄鋼産業の競争力強化に向けた特別委員会」を設置し、5か年計画と年間の実行計画を立て、財政や税制支援をはじめとする競争力強化のロードマップを設けることを目指します。
与野党の国会議員は、「党派の垣根を超えた超党派の対応だ」と強調したうえで、22代目となる今国会における初の超党派の協力であることをアピールしました。
一方、鉄鋼大手の現代(ヒョンデ)製鉄とPOSCOなど、国内の鉄鋼業界は、アメリカとの交渉後、アメリカに生産拠点を設けることを検討しているということです。
海外の主な鉄鋼会社は、アメリカの保護貿易主義により積極的に対応しています。
日本製鉄は、アメリカのUSスチールをおよそ141億ドルで買収し、アメリカ現地で生産拠点を確保することで、関税による負担を軽減するねらいです。