李明博(イ・ミョンバク)前大統領が来月出版する予定の国政回顧録で、北韓が南北首脳会談の見返りとして100億ドル以上を求めてきたため、会談が実現しなかったことなどを詳しく紹介していることがわかりました。
李明博前大統領は来月2日に出版される回顧録「大統領の時間」の一部を公開しました。
そのなかで李前大統領は、南北首脳会談について、2009年8月に金大中元大統領が死去した際、弔問のために訪れた北韓労働党の金己男(キム・ギナム)書記が「南北首脳会談を望む」という内容の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長からのメッセージを伝えてきたことがきっかけで、首脳会談に向けた北韓との接触が始まったと綴りました。
しかし、その後の接触で北韓が100億ドルとコメ40万トン、肥料30万トンなどを求めてきたため、物別れとなったと明らかにしています。
また韓国海軍の哨戒艦「天安(チョナン)」が北韓の魚雷攻撃で沈没してから4か月が過ぎた2010年7月、北韓の招きによって北韓を訪れた韓国国家情報院の高官に対して、北韓は天安艦事件について遺憾の意を示し、首脳会談の見返りにコメ50万トンを求めてきたということです。
同じ年の12月にも北韓の要人が秘密裏にソウルを訪れましたが、李前大統領とは会談できず、その後、その要人は処刑されたという話しを聞いたと説明しています。
このほかに、李前大統領自らが推し進めた「4大河川整備事業」については、必ず必要だった治水政策で、自然災害や気候変動への代案もないまま、世論をあおる否定的な主張をするのは無責任だと語ったほか、国政調査が進められている「資源外交」についても、必要性があったことを遠まわしに強調しました。