朝鮮王朝の王陵群

優秀性

神々の庭園、朝鮮王陵

朝鮮王朝の王陵群は、朝鮮王朝519年間にわたる王と王妃の墓が完璧に保存されている遺跡で、500年以上続いた王朝の王陵が、現代までも損なわれずに保存されてきたのは、世界的にも朝鮮王陵が唯一である。
朝鮮王朝の王と王妃、追尊された王と王妃の墓は合わせて42基あり、このうち北韓にある2基を除いた40基が世界遺産に指定されている。

資料出所: 文化財庁

  • 王陵の条件

    王陵は儒教と風水にもとづいて作られた。
    まず風水で南に水があり丘を背にした「背山臨水」の地であり、遠くの山に囲まれ周辺と隔離された理想的な地を選択したうえで、儒教の礼法に従って陵域の空間を構成した。
    また王が一日で往来できる距離を基準にしており、ほとんどの王陵が首都の漢陽(いまのソウル)郊外に位置している。

  • 資料出所: 文化財庁

  • 朝鮮王陵の構造

    朝鮮王陵は、俗世の空間である「進入の空間(齋室、池、禁川橋)」、生きる者と死す者を迎え祭祀を行う「祭祀の空間(紅箭門、丁字閣、守僕房)」、そして死す者のための「聖域の空間(碑閣、陵寝の空間)」の3段階に区分して作られた。
    俗と聖の境目である禁川橋を渡ると、神聖なる場所であることを意味する紅箭門があり、その前に「参道」と呼ばれる道が伸びている。
    参道は、亡くなった王が通る神道と、生きた王が通る御道に分かれており、丸く盛られた土の前には多様な石物や文人・武人の石像などが並んでいる。

    • ① 紅箭門
    • ② 丁字閣
    • ③ 守僕房
    • ④ 水刺間
    • ⑤ 参道
    • ⑥ 文石人
    • ⑦ 武石人
    • ⑧ 長明燈
    • ⑨ 盛り土の墳墓

国葬に関する儀軌

朝鮮王朝は国の重要な行事の際に、その行事の過程を詳細に記録し本として残している。これを「儀軌」という。
国葬に関する儀軌には、王陵を作るのにあたって、どんな意図をもって立地を決め、造成に費やされた経費や資材だけでなく、葬儀はいつ行われたかなどについても詳しく記録されている。
絵で詳しく描かれたものもあり、先代の王が行った葬儀が複雑で厄介なものであっても、試行錯誤なしにもとの形式のまま行うことができた。

資料出所: 国立中央博物館

参照:粛宗国葬都監儀軌

山陵祭礼

山陵祭礼は、朝鮮王朝の歴代の王と王妃を祭る祭祀の儀式のことで、儒教の忠と孝を象徴するものである。
朝鮮王朝の600年近い間行われてきた国家の祭祀であるが、朝鮮王朝が終了した現在は、王室の皇孫である全州李氏大同宗約院がその伝統を受け継いでいる。

資料出所: 文化財庁

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