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文化

韓国アニメーションの記錄を塗り替えたアニメ映画「庭を出ためんどり」

2011-12-27



今年の夏、封切りした韓国のアニメ映画「庭を出ためんどり」は、100万部の売り上げを記錄したベストセラー童話を原作にして作られたアニメーションです。このアニメ映画は韓国のアニメ映画としては初めて観客数200万人を突破、延べ220万人の観客を集めました。映画館での上映が終わった後も、原作となった童話やDVDの人気は衰えず、海外への輸出も活発です。

映画は狭い養鶏場のシーンから始まります。機械が運んでくれる餌をついばんで、毎日卵を生むだけのめんどりたち。主人公の「イプサク」はそんな自分の運命を受け入れることができず、ひなを育ててみたいと言い出します。栄養失調になれば卵が生めなくなって、養鶏場から追い出されることに気づいたイプサクは餌を拒み、養鶏場を追い出されます。



ついに庭を出ためんどりの「イプサク」ですが、養鶏場の外には飢えたイタチが住んでいて、虎視眈々と「イプサク」を付け狙います。絶体絶命の危機にさらされたある日、自分を助け、イタチに食べられてしまったマガモの夫婦に代わって「イプサク」はその卵を温めはじめます。その卵から生まれたのが息子の「チョロク」です。映画はめんどりとマガモの親子の成長を描き出します。空を飛べるようになった「チョロク」をマガモの群れに送り出した「イプサク」は、自分を付け狙っていたイタチにお腹を空かせた子どもたちがいることを知り、自ら餌になる決心をするのです。

アニメ映画の悲しいラストシーンはめんどり「イプサク」が「チョロク」を育てながら、自然の一部としての自分のアイデンティティを悟る過程を描き出すためのものでした。「イプサク」が自らイタチの餌になることで、自然の一部となることを選んだのです。



韓国で作られたアニメ映画はヒットしないという偏見をくつがえした「庭を出ためんどり」。その成功の秘密を探ってみると、最初に挙げられるのは絵、画風です。監督は童話の挿絵のような情緒をそのまま伝えられるような絵を仕上げ、同時に、映画のストーリーを活かすために、アニメーションのキャラクターにある程度のリアル感を出したといいます。



3Dや4Dの立体感をあきらめたのも、童話の情緒をそのまま伝えるためだったそうです。「庭を出ためんどり」は豪華な声優陣ということでも話題になりました。さまざまな映画で演技力を認められている俳優たちがアニメーションのキャラクターを演じたのです。また、事前にセリフを吹き込み、その上にアニメーションを載せていったため、俳優の演技力を活かし、同時にセリフとぴったりと呼吸を合わせたキャラクターの動きを作り出すことができました。音楽にも気を遣いました。サウンド、音楽、イラスト、声優などそれぞれの分野で最高のものを作るための努力が完成度の高いアニメーションを生み出したのです。

日本やアメリカに押され気味だった韓国アニメの底力をみせたアニメ映画「庭を出ためんどり」。アニメが新しい韓流の主役になる日が近づいてきたのかも知れません。

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