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文化

通算1000回の公演を記録したミュージカル、韓国版「マンマ・ミーア!」

2012-01-03



ミュージカル「マンマ・ミーア!」は1970年代を代表するスウェーデン出身の4人組「アバ」のヒット曲で綴られる、いわゆるジュークボックス・ミュージカルです。1999年4月、ロンドンで初演されて以来、今も世界各地でロングランを記録しています。

その「マンマ・ミーア!」の韓国初演は2004年1月で、去年の暮れ、ついに通算1000回目の公演を達成しました。客席1000以上の規模の劇場で公演されたミュージカルとしては最短期間で千回公演を突破したのです。韓国の場合、ミュージカルは演劇の延長線上にあるもの、あるいは純粋芸術に含まれるジャンルの一つと見なされることが多く、ロングランが難しい公演とされていました。ロングランができなければ公演で利益を出すことはできないため、比較的コストがかからない、規模の小さい舞台が多くなるという悪循環が繰り返されていました。こうしたミュージカル公演の悪循環を断ち切ったのが、「マンマ・ミーア!」の千回公演だといえます。規模の大きいミュージカルもロングランできて、しかも利益をあげられることを証明したのです。



ミュージカル「マンマ・ミーア!」の舞台はエーゲ海に浮かぶ小さな島。若かりし頃、バンドでリードボーカルをしていた主人公のドナはこの島で小さなホテルを営んでいます。シングルマザーのドナには結婚式を控えた娘、ソフィがいます。父親とバージンロードを歩くことを夢見るソフィはお母さんの昔の日記をこっそり持ち出して、お母さん、ドナのかつての恋人たち3人を結婚式に招待してしまいます。お母さんと娘の間に葛藤が生じますが、互いの人生を理解していく過程で、お母さんのドナも娘のソフィも本当の愛を見つけ出すというストーリーです。

韓国版「マンマ・ミーア!」は千回の公演で、通算観客数130万人、累積売り上げ高8千億ウォンを記録しています。それまでミュージカルにあまり関心のなかった主婦、中年の女性をミュージカルの舞台に呼び寄せた作品です。主婦層を動かした「マンマ・ミーア!」をきっかけに韓国のミュージカルが最盛期を迎えることになりました。

「マンマ・ミーア!」の人気の秘密は何と言っても、聞いている人をハッピーにしてくれるアバの歌でした。シングルマザーと結婚式を控えた娘、そして自分こそ父親だと主張する3人の男性が繰り広げる興味津々のストーリーの中に魅力的な歌が溶け込んで最高のミュージカルを生み出したのです。



しかし、それだけでは韓国での記録は説明できません。韓国版「マンマ・ミーア!」の成功の鍵は、韓国の観客の情緒に合わせて脚色したストーリーにあるといえます。たとえば、海外の「マンマ・ミーア!」では淡々と描かれているお母さんと娘の話を韓国版ではもう少し親子の情が感じられる、感動のある話に脚色してあるのです。韓国人の情緒が溶け込んでいる演出に加えて、ミュージカル俳優の演技力や歌唱力も観客にアピールしました。

韓国版「マンマ・ミーア!」の成功によって低迷気味だった韓国のミュージカルが息を吹き替えしています。韓国でのノウハウを活かして、中国版の「マンマ・ミーア!」も作られました。長い間、実力はあっても、なかなか日の目を見ることができなかった韓国のミュージカル。しかし、韓国版「マンマ・ミーア!」の成功によって、これまで蓄積されたミュージカルのノウハウを伝えるアジアのブロードウェーになれる可能性を見いだすことができたのです。

ドラマからK-POPへと続いている韓流ブーム。ドラマと歌が一つになったミュージカルで、韓流の新しい一歩を踏み出すことになるかも知れません。

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