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文化

朝鮮時代の王宮と伝統芸術の風情を同時に楽しめる王宮音楽会

2013-06-11



ソウルの都心にある朝鮮王朝の王宮、景福宮(キョンボックン)。その一番奥の方に行くと、朝鮮王朝26代目の王で大韓帝国初代皇帝でもある高宗(コジョン)の書斎として使われていた建物、集玉斎(チボクジェ)があります。集玉斎は書斎としてだけではなく、外国からの使者が来ると、謁見や宴会などにも利用されていました。この集玉斎で、韓国の伝統楽器による音楽会が開かれていて、外国人の観客にも人気を集めています。

音楽会が開かれるのは景福宮だけではありません。4年前から毎年、昌徳宮(チャンドックン)、徳寿宮(トクスグン)、そして歴代の王や王妃の位牌が祭られている宗廟(チョンミョ)でもそれぞれの特徴を活かした韓国の伝統音楽、国楽のコンサートが開かれていて、今年は10月13日まで公演が予定されています。

朝鮮王朝の第一王宮といえる景福宮(キョンボックン)は1395年、現在のソウル、漢陽(ハニャン)に都を移した朝鮮王朝が初めて建てた王宮でした。景福宮で開かれる音楽会はその歴史を物語る、王のための音楽が中心です。

公演場となる集玉斎の横から太鼓の音に合わせて黄色い伝統衣装を着た吹打隊(チタデ)が登場すると公演が始まります。吹打隊は、朝鮮時代、国の大きな行事などで行進曲を奏でた音楽隊で、口で吹く吹奏楽器と打楽器だけでスケールの大きい演奏を披露します。吹打隊の演奏が終わると、王と身分の高い官吏が入場したことを意味し、本格的な宮中音楽の演奏が始まります。最初に披露されるのは華麗な音楽と舞いを楽しむことができ「船遊楽(ソニュラク)」です。華麗な衣装を着た出演者たちが船遊びをしているような雰囲気をかもし出す公演で、長い布と出演者の並び方によって舞台にホンモノの船があるように感じられます。上品な音楽と舞いにうっとり酔いしれる頃、太鼓と鉦、大きな鼓のチャング、銅鑼を手に、サムルノリのチームが登場します。今回の公演ではサムルノリの軽快なリズムに、珍島(チンド)の太鼓の舞いを調和させ、太鼓とサムルノリのリズムが一つになる、インパクトのある公演になっています。

一方、昌徳宮では、安らぎを感じさせる風流たっぷりの音楽会が開かれています。毎週日曜日の午前9時、40人の観客といっしょに昌徳宮の裏庭にあたる後苑(フウォン)を散歩しながら、朝鮮王朝の歴史や文学に関する話を聞き、伝統音楽のパンソリを中心とした音楽会が進められます。また、11時には楽善斎(ナクソンジェ)で、朝鮮時代の恋物語や政治、葛藤などに関する話を聞き、風流音楽を披露する公演が開かれます。

朝鮮王朝、歴代の王と王妃、そして大きな業績を残した忠臣の位牌が祭られている宗廟。宗廟で開かれる音楽会では祭礼音楽の宗廟祭礼楽が演奏されます。宗廟祭礼楽は祭祀の儀式に合わせて演奏される音楽です。祭礼用の音楽で、一般の人には少し難しい部分もあり、主な音楽を中心に簡単な解説をつけて紹介されます。祭礼楽は国と民の平安を願う音楽で、その意味を活かして「天と地を結ぶ平和の音楽」というタイトルで公演が進められています。宗廟祭礼楽は神を迎える「迎神煕文(ヨンシンヒムン)」という音楽で始まります。祭礼用の音楽ということもあって、リズムやメロディに変化が少なく、退屈だと感じることもあるため、王宮音楽会では2時間の宗廟祭礼楽を40分にまとめて披露しています。

朝鮮王朝の王宮で開かれる音楽会は有形文化遺産の王宮と無形文化遺産の伝統芸術を同時に楽しむことができるソウルならではの公演として、今、注目されています。

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