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文化

韓国の伝統芸能、パンソリをさらに普及させようという動き

2014-07-08

歌と語りで物語をつづっていくソリクン、歌い手と、太鼓を叩いて拍子を取る鼓手による韓国の伝統芸能、パンソリ。パンソリには観客のチュイムセが入ります。チュイムセとは、パンソリの拍子に合わせて観客が入れる感嘆詞や相づちのようなもので、パンソリにメリハリをつけ公演に興を添えてくれます。韓国の伝統芸能、パンソリは、本来、芸人と観客がいっしょに作っていく面白い公演なのです。



ところが、最近、パンソリの歌詞や語りに登場する古語や四字熟語とも呼ばれる故事成語が分からず、全体の雰囲気は楽しめるものの、歌や語りの微妙な面白さを堪能することができない人が多くなっているといわれます。こうした人たちのために、ソウル江南(カンナム)区にある重要無形文化財伝授会館では、毎年、パンソリの面白さを分かってもらうための特別なイベントが開かれています。パンソリで聞く韓国の古典文学、題して「得音知設(トゥグムジソル)」です。

今年の「得音知設」は文学の価値について考え、古典文学やパンソリに親しみを感じてもらえるよう企画され、水宮(スグン)歌、春香(チュンヒャン)歌、赤壁(チョクビョク)歌、沈清(シムチョン)歌、興夫(フンボ)歌など、パンソリを代表する5つの作品について、古典文学の解説を交えて紹介されました。



一人の歌い手、ソリクンが、太鼓を叩く鼓手の拍子に合わせて、歌と語り、そして簡単な身動きを混ぜて物語をつづっていく、韓国版ソロオペラともいえるパンソリ。韓国の重要無形文化財に指定されているパンソリは、2003年には、ユネスコの「人類の口承及び無形遺産の傑作」にも登録されました。パンソリでは、歌と語りで話をつづっていく人をソリクンと言い、名人級のソリクンは「名唱(ミョンチャン)」と呼びます。そして、名唱は、生涯をかけて、ソリクンの永遠の課題、本当の音を得るための努力を続けるのです。音を得るという意味の「得音(トゥグム)」の境地に至ってこそ、パンソリに隠された風刺と面白さ、教訓と悟りをそのまま伝えることができるからです。韓国を代表する100大名唱の中でも「得音」の境地に至ったのは3人しかいないとされています。「得音」の境地とは、歌や語りだけではなく、風、鳥、水、雷の音や銅鑼の響きなど、自然の音を出せるようになることです。ソリクンは生涯、「得音」の境地を目指して歌い続けるのです。

パンソリの面白さを伝えるためのイベント、「得音知設」では、重要無形文化財芸能保有者によるパンソリ公演を聞き、パンソリの面白さや古典文学の専門家による作品の解説を聞くことができます。



パンソリと文学が出会い、パンソリは難しいという偏見をなくしていくためのイベント、「得音知設」。こうした努力を通して、韓国の伝統芸能パンソリがより親しみやすく、誰もが楽しめる公演になっていくのかも知れません。

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