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文化

韓国の文字、ハングルの創設過程をモチーフにしたミュージカル「根の深い木」

2014-10-14

10月7日、ソウル竜山(ヨンサン)区にある国立中央博物館の「竜(ヨン)」劇場で、ソウル芸術団による創作ミュージカル「根の深い木」の制作発表会が行われました。本公演は、10月9日、韓国固有の文字、ハングルを記念するハングルの日にスタートしました。今年の10月9日、ハングルの日は、国立中央博物館の隣に、新しくハングル博物館がオープンした特別な日でもあります。

10月9日から18日まで公演されたミュージカル「根の深い木」。原作となったのは、作家イ・ジョンミョンさんが書いた同名の小説で、朝鮮王朝4代目の王、世宗(セジョン)が訓民正音(フンミンジョンウム)、ハングルを頒布する前の7日間、朝鮮時代の王宮、景福宮(キョンボックン)で起きる連続殺人事件を追う推理小説です。「根の深い木」は70万部以上の売上げを記録し、その後、演劇やドラマとしても制作され、大きな人気を集めました。



世宗がハングルを作っていく過程はテレビ番組や本、あるいは歴史の授業などを通して紹介されてきました。ストーリーの展開をほとんどの人が知っている内容を舞台で表現するため、原作、つまり推理小説の特徴を活かして緊張感を保とうとしました。ミュージカルの前半は、ハングルを研究し、完成させた研究機関、集賢殿(チッピョンジョン)の学者たちが殺され、その犯人を追う過程で、当時の朝鮮王朝を取り巻く権力争いが暴かれていきます。そんな中、権力より民を想った世宗の人柄やハングルを作っていくための努力が浮き彫りになります。

ミュージカル「根の深い木」では原作の小説にはいないカン・チェユンという人物が登場します。叔母の死に追いやった両班を罰しない世宗に復讐しようと兵士となって王宮に入ったカン・チェユン。ところが、王宮でハングルの創設に携わっていた若い学者が何者かに殺される事件が起こります。カン・チェユンは殺人事件の捜査を任されますが、最初の事件も解決できないうちに、再び殺人事件が発生するのです。殺人事件を捜査する過程で、カン・チェユンは世宗が秘密裏に進めていた新しい文字、ハングルの創設について知ります。叔母の死を見て見ぬ振りをしたと思っていた王、世宗が、実は民を救うために新しい文字を作っていたことを知ったカン・チェユンは、ハングル創設の手助けをすることになるのです。

ミュージカル「根の深い木」は、ハングルを作る過程よりは、ハングルを作った世宗にスポットを当てています。世宗という人物を劇的に演出するため、第1幕では平民と両班の間で悩む世宗の姿と、チェユンとの出会いを、第2幕ではハングルの創設を描き出しています。朝鮮時代、新しい文字を作ることは、思った以上に大変なことでした。中国の明からの圧迫や既得権益を守ろうとする支配階級の両班の抵抗は想像を絶するものでした。ミュージカルでは世宗を暗殺するため、中国の明が送り込んだ刺客との戦いも描かれています。



王宮で起きた連続殺人の犯人はハングル創設に強く反対していた集賢殿の学者のように描かれますが、真犯人は他にいました。政治的な野望を秘め、中国の明と手を取った官吏、シム・ジョンスが殺人犯として捕えられます。ミュージカル「根の深い木」のラストシーンで連続殺人事件を解決した世宗はハングルを頒布します。

ミュージカル「根の深い木」は、1446年、国を守り、民を守るため、新しい文字、ハングルを作った朝鮮の王、世宗(セジョン)の想いを伝えています。

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