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文化

「北の空が明かるい」ほか

#国楽の世界へ l 2022-02-14

国楽の世界へ

「北の空が明かるい」ほか

朝鮮時代中期、イムゼという学者ソンビがいました。当時、朝廷は党派争いで混乱した状態でした。大胆な性格の彼は、その現実を嘆き、名勝地をめぐって遊び歩いたといいます。そんな過程で、芸者妓生との間でできた逸話がいくつもあるんです。その一人に、寒いという漢字に雨と書いて、冷たい雨という意味の名前の、ハンウという妓生がいました。イムゼは、ハンウの名前に例えた詩を作りました。空が明るいので傘も持たずに出かけたところ、山には雪が、野原には冷たい雨が降り濡れてしまったので、今夜は凍えるだろう、という内容です。つまり、心の準備もできていないのにハンウと出会って、戸惑ってしまったということです。一方で、自分がこのまま帰ってしまっても良いだろうかと、ハンウに問いかけている意味もあるんです。この詩に対し、ハンウは、温かい部屋においでください、という内容の詩で応えています。この詩調(シジョ)は、今でも歌で伝わっています。今日の最初は、ブラウンアイドソウルの歌で、「北の空が明かるい、북천이 맑다커늘」という曲をお楽しみください。


朝鮮時代の妓生は、最も低い身分でしたが、一方では上流階層ヤンバンを相手にしていました。読み書きはもちろん、ソンビの好みに合わせて詩を作ったり、音楽を演奏したり、踊ったりと、教養を身に付けなければなりませんでした。中には、ソンビよりも学識や教養が優れた妓生もいたものです。そんな妓生の一人が、ファン・ジニです。ファン・ジニはプライドが高く、宴会に出るときも華やかな服装や化粧をしなかったそうです。彼女は、会いたいからといって、みんなが会えるわけではありませんでした。相手がどんな人なのか、親しくなっても良い相手なのか判断したようです。また、別れることになったときには、未練を持たなかったといいます。ファン・ジニは、たくさんの詩や詩調を残しましたが、その中に「冬至の月」という作品があります。冬至の長い夜を切り取って布団の中に入れておき、恋人が来たとき取り出したいという内容です。鼻高の彼女が待っていた人はいったい誰だったのでしょうか。それでは、正歌アンサンブルソウルジギの歌と、キム・ジュンヨンさんのコムンゴの演奏で、「冬至の月、동짓달」という曲をお楽しみください。


ファン・ジニほどではありませんが、メチャンという妓生も詩が上手なことで知られます。メチャンは、同じく低い身分出身のユ・ヒキョン詩人と恋人でしたが、すぐに離れ離れになってしまいました。一生お互いを恋しく思ったそうです。今日の最後は、メチャンが作った時調を歌にした曲です。ア・ラヨンさんの歌で、「梨の花が雨のように散るとき、이화우 흩뿌릴 제」という曲をお楽しみください。梨の花が散る頃に別れた彼が、葉っぱが落ちる秋になっても果たして自分のことを考えているだろうかと、ユ・ヒキョンを恋しく想うメチャンの気持ちを表した作品です。

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