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文化

「霜月」ほか

#国楽の世界へ l 2023-12-26

国楽の世界へ

「霜月」ほか
都心では、夜になっても星はもちろんのこと、月を見ることも簡単ではありません。電灯が明るすぎて星は全く見えないですし、光害という言葉もあるほどです。電気がなかった時代の夜は、本当に真っ暗でした。ろうそくやランプのようなものもありましたが、ろうそくは値段が高くお金持ちが使用するものでしたし、庶民が使用していたランプは植物性や動物性の油を使っていたためあまり明るくありませんでした。だから、太陽が沈んだら寝て、太陽が昇ったら起きて仕事をするのが、当たり前の日常でした。昔は冬の夜が何と長く退屈に思えたでしょうか。恋しい人がいたら、なおさらだったはずです。ファン・ジニさんは、この長い夜を集めておいて、いつか恋しい人が戻ってきたときに取り出して使いたいという内容の詩を作りました。今日の最初は、この詩を歌でお楽しみいただきます。

今度は、ホ・ナンソルホンさんの「冬」という詩をカヤグムの演奏と共に歌う曲です。彼女は、朝鮮時代中期の天才詩人と言われます。8歳のときから詩を作るほど才能があったけれど、朝鮮時代は才能のある女性には過酷な時代でした。女性は活動をすることができず、両親が決めてくれるままに嫁に行くしかありません。ところが、彼女は夫と仲がよくなかったそうです。実家は政治的な問題で滅び、幼い子供たちは病気で次々と亡くなりました。すると、彼女も生きる意味を失ってしまいます。結局、27歳のとき、自分が作った詩を全て燃やしてほしいという遺言を残し、この世を去ってしまいました。今日お聞きになる「冬」という詩からは、彼女の寂しい人生がよく感じられます。長い冬の夜、愛する人との時間を詩を通じてのみ表現した彼女は、どれほど寂しかっただろうかと思います。

今度は、コムンゴの独奏で、山の中の家で、落ち葉の掃除をするという意味の、「ソヨプサンバン」という曲をご紹介いたします。作曲をしたファン・ビョンギさんは、誰でも春になると夢を抱くものだが、その夢から覚める前に、秋になるので、歳月が早いのが実感できるという説明を付けました。秋はとっくに過ぎましたし、あと数日で2023年も終わりです。今年成し遂げたこと、または、計画はしたけれどできなかったこともあるでしょう。清らかな気持ちで新年をむかえることができればと思います。

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