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歴史

金洙暎

2011-12-02

<b>金洙暎 </b>
金洙暎(キム・スヨン)は韓国現代詩を代表する詩人の一人です。
彼は1921年11月27日にソウル鍾路(ジョンノ)に生まれ、善隣(ソンリン)商業高校を経て、1941年に東京商業大学に入学しますが、学徒召集を避けて帰国、満州に移住します。
その後、1945年の終戦とともに帰国、詩作活動を始めます。
彼は当時流行していたモダニズム詩人たちと交流し、独立後、最初の同人誌「芸術部落」に『廟庭の歌』という詩を発表します。
また1949年に発刊されたモダニズム同人誌 『新たな年と市民の合唱』には「孔子の生活難」という詩を発表します。

花が実の上部に咲く時
お前は縄跳びをする

で始まるこの作品はモダニズムの精髄を示すと同時に、現代を生きる私たちの暮らしを見つめる作者の視線が込められています。
そして1950年、彼は戦乱の真っただなかに放り込まれます。
韓国戦争勃発後、避難しないでソウルに残っていた彼は、退却する人民軍に強制動員され、最後は巨済(コジェ)島の捕虜収容所に収容されます。
そして1953年に発表された詩『月の国の悪戯』では

都会の中で逃げまどうように生きる私の暮らしよ
生活は孤絶であり悲哀だった

と告白しています。

それまでモダニストとして難解な詩を書いてきた金洙暎は1950年代を生きながら、詩とは日常の生活空間の中にあるものだということを悟ります。
その時から彼は平凡な日常用語を使いながら現実を直視した詩を書き始めます。

1960年4月19日。
彼はラジオの前で夜を徹し、夜が明けると同時に市内に出ます。
そして李承晩(イ・スンマン)大統領が辞任を発表するまでの間、彼は大統領の辞任を求める市民と学生たちのデモの列に加わりました。
そしてその1年後に起きる1961年5月16日の軍事クーデター。
軍事政権下で彼は抵抗する知識人として数々の詩を発表していきました。
その中でも1968年に発表された『草』は大衆の生命力の尊さを歌ったものです。

草が横たわる
風よりも もっと早く横たわる
風よりも もっと早く涙を流し
風よりも先に立ち上がる
力ない市民がゆえに たやすく倒れるが
たくましき生命の根を張っている民草は絶望はしても放棄はしない
それで風よりも先に立ち上がり笑う生活人

この『草』を発表してから2週間後の1968年6月16日、 金洙暎は交通事故で亡くなりました。

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