セウォル号惨事から10年、記憶と記録
2024-04-19
大統領就任式が10日に行われ、新しい政権が発足しました。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は就任式の演説で、「自由民主主義と市場経済を基盤とする国民が中心の国」「国際社会で責任と役割を全うする国」を作っていくことこそ大統領の務めだとしたうえで、自由と民主主義を脅かす社会の二極化と対立を克服し、科学と技術、革新によって跳躍と成長を実現していくと述べました。
また、グローバルサプライチェーンのリスク、気候変動、エネルギー危機、低成長と失業、社会の二極化などの懸案に政治が十分対処できていないとしたうえで、それらの懸案を解決するためには、見解と立場の違いを調整し、妥協することが必要だと指摘し、それこそ民主主義を支える合理主義と知性主義だと強調しました。
尹錫悦政権はこれまでになく厳しい状況でスタートしました。
政治、経済、社会、安全保障など、多くの分野で不安と危機が深刻化しているからです。
国内では新型コロナウイルスの影響で貧富の二極化が進み、若年層の雇用不安も深刻になっています。
一方で、物価の上昇、ウォン安、高金利などが重なって、経済全般に影響を及ぼしています。
前政権で解決できなかった住宅価格の上昇も大きな負担となっています。
対立も深刻になっています。
国会で圧倒的多数の議席を占める野党は、検察から捜査権を剥奪する法案の採決を強行し、尹錫悦大統領は野党の反対にもかかわらず大統領執務室の移転を強行するなど、早くから対立が浮き彫りになっています。
国務総理と閣僚候補者19人のうち、国会の人事聴聞会を通過した人は7人にとどまっています。
一方で、世界情勢は新冷戦時代と言われるほど各国の利害が複雑に絡み、アメリカ、日本、中國など、周辺国との関係をどのように調整していくかも重要な課題です。
こうした中で、北韓が年内に核実験を実施するのではないかとの見方もあり、北韓への対処もこれまでになく重要になっています。
20日には韓米首脳会談が予定されているほか、今後、日本の岸田文雄首相や中国の習近平主席との会談にも備える必要があり、外交の手腕が問われることになります。
尹錫悦大統領は、権威主義に陥ることなく、国民と疎通し、共に呼吸する大統領を目指すとしています。
尹錫悦大統領は、科学技術と革新、自由民主主義の本来の価値を土台に政策を進めていきたいとしていますが、理想と現実は別の問題です。
各種の政策を進めていくためには、国会で多数議席を占める野党の協力が欠かせない状況で、尹錫悦大統領の政治力が注目されています。
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