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ライフスタイル

第640話 KBS大河ドラマ、落馬シーンの撮影で馬が死亡し物議

2022-01-25

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP News

KBSの大河ドラマ『太宗(テジョン)イ・バンウォン』で、去年11月、俳優が落馬するシーンの撮影中に、馬の上半身が地面にたたきつけられました。このシーンは1月1日に放送された第7話に出たものです。


この時の馬の倒れ方が不自然だという指摘が相次ぐ中、1月17日、KBSの視聴者掲示板に「『太宗 イ・バンウォン』の第7話の落馬シーンに出た馬は生きていますか」という書き込みが掲載されました。「脚を強制的に縛らないことには、馬があんな風には倒れない」として、動物を虐待したのではないかとの疑問を呈したこの書き込みに対して、KBSは、馬が、撮影の約1週間後に死亡したことを確認したとして、事故を未然に防げなかったことについて謝罪する声明を発表しました。


韓国の動物愛護団体KAWA=動物自由連帯が1月20日、問題となったシーンを撮影したときの映像を入手しSNSに公開したことで波紋はさらに広がりました。俳優が乗った黒い馬は、後ろ脚のうち1本をロープで縛られていたのですが、撮影が始まると、きつく締め付けられたロープが引っ張られ、馬は顔面から地面にたたきつけられました。俳優も宙に飛ばされ、馬は頭が動かせない状態で、後ろ脚を蹴り続けているという何とも痛ましい映像でした。


SNSでも批判の声が高まり、KAWAの投稿には「馬の首が完全によじれていた。ひどすぎる」「このドラマは絶対に見ない」といったコメントが相次いで上がってきています。青瓦台の国民請願サイトでは、『太宗 イ・バンウォン』の放送中止と処罰を求める書き込みに、1月23日夕方の時点で13万人以上が賛同しています。KBSは1月22日と23日に放送予定だった第13話と第14話の放送を、29日と30日も見送ることを決定し、24日には再度謝罪するコメントを出していますが、収拾がつかない状況です。


この事故について、俳優のユ・ヨンソクさんやコン・ヒョジンさん、歌手のテヨンさん、ソプラノのチョ・スミ氏などが自身のSNSで批判や問題視する声を出しています。また、大統領選挙に立候補している人たちも事故に言及しています。最大野党・国民の力のユン・ソギョル氏は、「命より大事なものはない。人も動物も安全な制作環境をつくることに、公営放送がもう少し努力してほしい」と書き込み、野党・国民の党のアン・チョルス氏も、「動物は小道具ではない」と強調しました。


韓国では動物保護法で、道具を用いて動物に傷害を負わせる行為を動物虐待とみなして禁止していますが、今回の事故はこれに該当するとして処罰すべきだという世論が高まっているのです。動物愛護団体は以前からこの法律をもっと厳しくするよう求めてきました。しかし動物の安全を保障できない撮影方法についての議論はまだまだ続くものとみられます。動物を使った撮影のガイドラインの設定とともに、危険な撮影の代わりにCG=コンピュータグラフィックスを活用する方法などが挙げられていますが、予算の問題で実現されていないのが実情です。動物愛護団体のKARA(カラ)が2020年に映画や放送関係者157人を対象に行ったアンケート調査では、動物を実際に出演させる代わりにコンピュータグラフィックスを考慮したことがあるかとの問いに、58%が「ない」と答えているということです。


『太宗 イ・バンウォン』は、KBSが5年ぶりに満を持して復活させた大河ドラマで、しっかりとした時代考証と完成度の高い映像で人気を博しており、最近では11%台の視聴率を記録していましたが、今回の事故でドラマは暗礁に乗り上げた形となっています。

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