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ライフスタイル

第663話 韓国ドラマが発達障害と向き合う姿勢に変化が

2022-07-12

玄海灘に立つ虹


最近の韓国ドラマには発達障害を持つ主人公が多く出てきています。

以前は保護者などに依存したキャラクターあるいは障害と偏見に負けずに社会で成功するサクセスストーリーのような内容が多かったのですが、いまでは自分自身が積極的に未来を開拓していくキャラクターが多いのが特徴です。障害や障害を持つ人を描く方式が少しずつ変わってきているのです。


たとえばドラマ『グッド・ドクター』(2013、KBS)がそのうちの一つです。サヴァン症候群の医師(チュ・ウォン演)の物語でしたが、サクセスストーリー一辺倒ではなく、ヒューマニズムを適切に溶け込ませた内容で、好評を博しました。『グッド・ドクター』は日本やアメリカ、中国、トルコ、イタリアでリメイクされ、作品性に定評があります。


6月に最終回を迎えたドラマ『私たちのブルース』(tvN)には、ダウン症(ダウン症候群)のヒロインが出ています。これまで映画やドラマでは、障害を持つキャラクターを、障害を持たない俳優が演技で表現する場合がほとんどでした。障害を持つ人が現場で実際に演技をすることが容易ではなかったからです。しかし『私たちのブルース』の場合は、実際に障害を持つ女性(チョン・ウネさん)が脚本家のノ・ヒギョンさんら制作サイドとの長い間にわたる話し合いの末に、直接出演することを決めたといいます。


最近俄然注目を集めているドラマは、『おかしな弁護士ウ・ヨンウ』(ENA)(邦題:ウ・ヨンウ弁護士は天才肌)です。自閉スペクトラム症(アスペルガー症候群)の弁護士ウ・ヨンウ(パク・ウンビン演)はユニークな視線で事件の解決に努力するヒロインです。特定の単語に執着し、人から聴いた言葉を反復する習慣などがリアルに表現されています。また、自分に心地よいパターンを継続させたいという思いが強く、毎日朝食と夕食は同じメニューをとるというような日常も自然なものとして描かれています。


ドラマを執筆しているムン・ジウォンさんは、「自閉スペクトラム症という設定は、単に関心を引くための素材ではなく、ドラマのメッセージを伝える最も重要な要素だ」と説明しています。また自閉スペクトラム症について正確に理解し表現するために制作スタッフ全員が努力したと強調しました。このドラマはケーブル系で、しかもできたばかりの局が制作したドラマですが、ネットフリックスで観れることもあってか、大きな話題を呼んでいて、6月30日に放送された第2話は首都圏で2.0%の視聴率を達ししています。またネットフリックスでは7月11日に出た記事によりますと、韓国国内では首位、グローバルテレビショー部門では10位にランクインしています。


自閉症などの障害を持つキャラクターを前面に出したあるいは素材にしたコンテンツは、試行錯誤を繰り返しながらもより良い方向に向かっているといえるでしょう。今のところはサヴァン症候群や自閉スペクトラム症などの人物の天才的な面が強調されている作品が多いのが事実ですが、これからはもっといろいろな人物が表現されることを期待したいものです。

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