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ピープル

ウェブトゥーン作家、イ・ジョンボム

2016-01-26

1月6日、ソウルの近郊、京畿道(キョンギド)富川市(プチョンシ)にある韓国漫画映像振興院のウェブトゥーン創作体験館でウェブトゥーンを制作するためのノウハウを教える特別講座が進められました。ウェブトゥーンとは、インターネットを意味する「ウェブ」と漫画を意味する「カトゥーン」を一つにした造語で、簡単にいえばネットで見る漫画のことです。この日、講師として登場したのは「ドクター・フロスト」という作品で人気を集めているウェブトゥーン作家、イ・ジョンボムさんです。イ・ジョンボムさんの代表作「ドクター・フロスト」は、ウェブトゥーンで初めて心理学者を主人公にした作品で、現在、シーズン3が連載されています。



イ・ジョンボムさんが初めて漫画家になろうと思ったのは8歳の時でした。彼が学校で描いた漫画は友だちの間で大人気でした。高学年になった彼は学校に通うことが無意味に感じられました。思春期を迎えたイ・ジョンボムさんは漫画家の弟子になろうと決心し、それまで描いた漫画を手に近所に住んでいた漫画家の家を訪れました。漫画家は「これは漫画ではない。絵だ。漫画にはストーリーがあって、ストーリーを作るためには知識がなければならない。そのためには勉強しなければならない」と言いました。この話を聞いたイ・ジョンボムさんは学校に戻りました。学校の勉強をすべて漫画に結び付け、歴史の時間には時代劇の漫画に必要だ、科学の時間にはSF漫画に必要なことを習っているのだと考えながら勉強に励みました。そのおかげで彼は、名門、延世(ヨンセ)大学心理学科に入学することができたのです。



ところが、大学に入ったイ・ジョンボムさんは兵役についていた期間を含めて7年間、漫画を描きませんでした。漫画を描こうと思って始めた音楽に魅了されてしまったのです。漫画を離れて、音楽に浸っていたある日、バンドの公演をしていたイ・ジョンボムさんはある観客と目が合いました。あまり楽しそうに見えない観客の顔を見たとき、イ・ジョンボムさんは漫画を描いていた頃はいつも相手の反応に関心を持っていたことを思い浮かべます。この日の経験で、イ・ジョンボムさんは再び漫画の世界に戻ります。ところが、どうしてもアイデアが浮かびませんでした。このままでは漫画をあきらめるしかないと思ったイ・ジョンボムさんはジャズ関連の雑誌を作っている先輩を訪ねて、お金は要らないから漫画を連載させてくれと頼み込みます。これがイ・ジョンボムさんの最初の連載でした。



ジャズ雑誌での連載が決まった後、イ・ジョンボムさんは本格的にウェブトゥーン市場に飛び込もうとしましたが、ウェブトゥーン市場の競争は激しく、担当者のメールアドレスを
聞き出すのも難しいほどでした。長い時間がかかりましたが、2009年、あるスポーツ新聞のウェブトゥーンセクションに、財テクを素材にした漫画「投資の女王」を連載することができました。7ヶ月にわたる連載を終え、イ・ジョンボムさんはメジャーサイトの扉を叩きます。担当者に送ったシノプシスは何度も断られます。呆然としていたイ・ジョンボムさんは漫画の素材を思いつくたびに書き残していた手帳に目をやりました。最後に残っていたメモには「心理学者が登場する話」という一行が残っていました。イ・ジョンボムさんが心理学を専攻したことを知っていた担当者はシノプシスもなかった「心理学者の話」の関心を示し、連載が決まったのです。イ・ジョンボムさんの代表作「ドクター・フロスト」の始まりでした。



イ・ジョンボムさんは先輩たちを訪れ、精神科の相談事例と治療の過程を綿密に分析し、エピソードを作っていきました。2011年2月9日、「ドクター・フロスト」最初のファイルが公開されます。誰にも話せない心の悩みを果敢につまみ出したウェブトゥーン「ドクター・フロスト」に読者は反応しました。連載を始めて3年あまりが経った今、「ドクター・フロスト」はシーズン3を迎えています。漫画を通して、睡眠障害、失恋、劣等感、敗北感などさまざまな心の病に苦しんでいる人々の話をつづり、いやされていく過程を描き続けています。「ドクター・フロスト」では、つい最近、多くの犠牲者を出した旅客船セウォル号沈没事故の生存者の話にも触れています。



ウェブトゥーン作家、イ・ジョンボムさんは、「ドクター・フロスト」を通して、心の傷を覆ってしまうのは克服ではなく、回避に過ぎないと語りかけています。そして、ウェブトゥーンを通じて健康な自我を見つける道を示したいと願っているのです。

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