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ピープル

舞台演出家、コ・ソヌン

2016-03-22



ソウルの竜山(ヨンサン)区にある国立劇団の小劇場で公演されている演劇「韓国人の肖像」。「韓国人の肖像」は、今現在を生きている韓国人の姿をありのまま描き出した作品で、27のエピソードで構成されています。「韓国人の肖像」は、演出家のコ・ソヌンさんが、今、韓国人はどんな顔、どんな表情で生きているのかを描いてみたいと思って企画した作品です。

公演が進められる85分間、舞台には通勤電車に乗った疲れた顔のサラリーマン、何度美容整形を繰り返しても満足できない女性、ネットゲーム依存症の若者、段ボール箱など古紙を拾って生活する老人などが登場します。演劇「韓国人の肖像」は、韓国の現在、中でも、隠しておきたい、さらけ出したくない一面に触れています。コ・ソヌンさんは韓国人の否定的な面についてあきらめるのではなく、表に出し、向かい合うことで、積もった感情を解消することができ、こうした過程を経てこそ、韓国、韓国人に対して本当の愛情と希望を持つことができると信じているのです。



去年、韓国の主な演劇賞を総なめにしたコ・ソヌンさんは、今、韓国で一番ホットな劇作家として、また、演出家として注目されています。大学1年生の時、サークルを通じて演劇の世界に触れたコ・ソヌンさん。大学を卒業したコ・ソヌンさんは広告企画の仕事をしていましたが、32歳になったある日、何もかも辞めて演劇の仕事をしようと決心します。彼は自分の部屋に閉じこもって、胸の奥に秘めておいた話を取り出して、原稿を書きはじめました。8ヶ月間、原稿を書き続け、1999年、「憂欝な風景の中の女」という作品がある新聞社の新春文芸に入選しました。作家としてデビューしたその年、コ・ソヌンさんは劇作家として、また演出家として活動し始めます。そして2005年、劇団「マバンジン」を立ち上げ、多くの人に見せたいと願っていた作品を舞台にのせることができました。



しかし、公演に対する観客の反応は冷たく、始めの4、5年は赤字続きでした。5年間の辛い時期を送ってからコ・ソヌンさんが感じたのは、演劇を続けるためには深い愛情が必要だということでした。それまでは自分が好きな話、聞かせたい話を舞台にのせたいと考えていた彼は、小さくは観客、大きくは人類のために何を話すべきかを考えるようになったといいます。

2010年、コ・ソヌンさんは京畿道(キョンギド)立劇団の芸術監督に籍を移しました。彼はより多くの観客が共感できる大衆的な作品を舞台にのせていきました。2011年、コ・ソヌンさんが演出した演劇「青い日に」は年末の演劇大賞で作品賞と演出賞を受賞しています。演劇「青い日に」は、1980年に起きた光州(クァンジュ)民主化運動を素材にした作品です。重くなりがちなテーマですが、コ・ソヌンさんは笑いを混ぜて作品を演出し、その力量を高く評価されました。芸術監督の任期を終えた2015年、コ・ソヌンさんは再び劇作家、そして演出家の仕事に復帰し、さまざまなジャンルの作品を演出しています。その努力が実り、コ・ソヌンさんは、2015年、韓国演劇協会から「今年の演出家賞」を受賞することができました。



誰よりも忙しい2015年を送ったコ・ソヌンさんは、今年の春、「韓国人の肖像」を舞台にのせました。日常に疲れた韓国人の姿を描き出した「韓国人の肖像」。重いテーマですが、コ・ソヌンさん特有の演出力で客席に笑いを起こします。暗くなりがちな話に、笑いというスパイスを効かせることで観客は最後まで公演に集中することができます。コ・ソヌンさんはより多くの人に最後まで公演を見てもらうことで、愛と希望のメッセージを伝えたいと願っているのです。

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