韓国の高等裁判所が日本政府に対して、元慰安婦への賠償を命じた判決は、日本政府が期限までに上告しなかったため、確定しました。韓国政府は、「韓日両国が未来志向の協力を続けていけるよう努力していく」という方針を表明しました。
ソウル高等裁判所は先月23日、旧日本軍慰安婦の被害者らが日本政府に損害賠償を求めた裁判で、原告の訴えを却下した1審の判決を取り消し、日本政府に対して請求金額を全額支払うよう命じる判決を言い渡しました。
これに対し、日本政府は、今月8日の期限までに上告せず、判決が確定しました。
日本政府は、主権国家は他国の裁判権に服さないとする国際法上の「主権免除」の原則にもとづき、1審から訴訟に応じていません。
上川外務大臣は、8日の記者会見で、「今回の判決は国際法、および韓日間の合意に明らかに反するもので、断じて受け入れることはできない」と改めて強調し、韓国政府に対して適切な措置を講じるよう求めています。
判決が確定したことについて、韓国の外交部は9日、「政府は慰安婦被害者の名誉と尊厳を回復していく努力を続けている」としたうえで、「韓日両国が未来志向の協力を続けていけるよう努力していく」という方針を示しました。
そのうえで、「政府は2015年の慰安婦合意を国家間の合意として尊重しており、こうした認識は歴代政権で一貫して堅持してきた」と述べ、外交の枠組みのなかで問題解決をはかっていく方針を改めて示しました。