元徴用工などが日本企業に損害賠償を求めた裁判で、最高裁にあたる韓国の大法院は、日本企業に賠償を命じた判決を確定しました。
大法院は21日の午前、元徴用工ら11人が三菱重工業と日本製鉄を相手取ってそれぞれ起こした裁判で、賠償を命じた2審の判決を支持し、被告による上告を棄却しました。
これにより、三菱重工業と日本製鉄が、原告1人当たり最大1億5000万ウォン、総額11億7000万ウォンの賠償金と遅延損害金を支払う内容の判決が確定しました。
この裁判は、7人の元徴用工と4人の元挺身隊員らが、2013年と2014年にそれぞれ起こしたものです。
提訴時の原告は、高齢によりすでに全員亡くなっていて、遺族らが引き継いでいます。
大法院は、三菱重工と日本製鉄を相手取って起こされた別の裁判でも、賠償を命じる判決を2018年に確定しています。
2社は、1965年の日韓請求権協定で解決済みとする日本政府の立場から、2018年の裁判でも賠償金の支払いを拒んでいて、今回も賠償を行う可能性は低いものとみられます。
韓国政府は、徴用被害の損害賠償問題への解決策として、ことし3月に、韓国政府傘下の財団が賠償金の支払いを肩代わりすることを発表し、勝訴が確定している原告らへの支払いを進めていますが、一部の被害者らは受け取りを拒んでいます。
韓国外交部は、21日、今回勝訴が確定した被害者らにも、被告企業の代わりに政府傘下の財団が賠償金を支払う方針を明らかにしました。