韓国の徴用被害者らが日本企業を相手取って起こした損害賠償請求訴訟を巡り、日本の最高裁に当たる大法院が、韓日関係の悪化を懸念した当時の政権の意向をくみ、判決を遅らせたとされる事件で、職権乱用などの罪に問われた最高裁長官にあたる元大法院長に対し、一審で無罪判決が言い渡されました。
この裁判は、2011年から6年間にわたって大法院長を務めた梁承泰(ヤン・スンテ)氏が、当時の朴槿恵(パク・クネ)政権の意向をくんで、徴用被害者が日本企業に賠償を求めた裁判の判決を不当に遅らせたなどとして、職権乱用などの罪に問われたものです。
梁被告は、徴用訴訟をはじめとする複数の訴訟への介入、司法行政に批判的な判事をリストアップしたとされる「司法ブラックリスト」の作成、裏金づくりなど合わせて47の罪で2019年2月に起訴され、検察側は、懲役7年を求刑していました。
しかし、ソウル中央地方裁判所は26日、「検察が示した証拠からは、関与は認められない」と判断し、梁氏が起訴されたすべての罪について無罪を言い渡しました。
徴用訴訟の判決を遅らせたとする事件をめぐっては、関与したとされる裁判官14人が起訴されていますが、このうち6人は大法院で無罪が確定していて、今回、元大法院長に対して一審の無罪判決が出たことで、検察の起訴が強引だったとして批判する声が出るものとみられます。