韓国の大手ベーカリーチェーン店「パリバゲット」を傘下に持つSPCグループのパン工場で、20代の女性従業員が機械に挟まれ亡くなった事故を受けて、消費者の間で「従業員の安全より利益重視」という批判の声とともに、不買運動が急速に広がっています。
事故は、ソウル郊外の平澤(ピョンテク)市にあるSPCグループのパン工場で今月15日に発生しました。
サンドイッチに入れるソースを混ぜる作業をしていた20代の女性従業員が機械に挟まれ亡くなりました。
この従業員が作業していたかくはん機には安全装置がついておらず、この工場にあるかくはん機9台のうち安全装置がついていたのは2台だけだったということです。
この工場では2017年からことし9月まで、37人が機械に挟まれるなどの事故でけがしたり、亡くなっていたことがわかり、今回も事前に対策をとっていれば防げた事故だったという指摘が出ています。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は20日午前、この事故について「利益を優先するのではなく、経営者と従業員が互いに思いやる最小限の配慮が必要だ」として、事故の経緯を調べるよう指示しました。
雇用労働部は、この工場の安全管理システムに不備があったとみて、SPCグループの代表取締役を重大災害処罰法違反などの容疑で書類送検するほか、この会社のパン工場を調査するチームを立ち上げました。
SPCグループは、事故の発生後、企業としての対応について説明せず、2日後になって会長が謝罪文を発表しましたが、消費者の憤りは収まっていません。
SPCグループの本社と「パリバゲット」の店舗周辺では、不買運動を呼びかける集会が開かれていて、フェイスブックやツイッターなどSNSには、パリバゲット、サーティーワンアイスクリーム、ダンキンドーナツ、パスクッチなど、SPCグループの系列会社のリストに「不買運動」というハッシュタグがつけられて拡散しています。