10日に行われた総選挙の開票作業が99%進み、11日午前8時現在、全300議席のうち、295議席の結果がほぼ確実となるなか、革新系の野党「共に民主党」と、系列の政党を含めた野党勢力が、全議席の5分の3となる180議席を上回る188議席を獲得して圧勝する見通しです。一方、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を支える保守系与党「国民の力」は、107議席を獲得して惨敗する見通しで、尹大統領の政策推進力の低下は免れないとみられています。
4年に1度行われる総選挙は、小選挙区254席と比例代表46席、合わせて300議席をめぐって争われ、10日午後6時に投票が締め切られました。
翌日の11日午前8時現在、300議席のうち、295議席の当落が確定しています。
開票の結果、革新系野党「共に民主党」は、小選挙区で161議席、比例代表で12議席のあわせて173議席を獲得、国会の過半数を大きく上回ることが確実視されています。
また、「共に民主党」と連帯する野党系列の革新系「祖国革新党」が11議席、「改革新党」が2議席など、野党勢力の議席をすべてあわせると、国会全議席の5分の3を上回る188議席を獲得する見通しです。
「共に民主党」は、単独で法案を可決することが可能となるだけでなく、他の野党と協力すれば、「ファストトラック」と呼ばれる制度を利用して、通常の手続きを経ずに法案を採決にかけることが可能になり、今後、政局の主導権は完全に野党が握っていく構図になりそうです。
一方、保守系与党「国民の力」は、小選挙区で90議席、比例代表で17議席のあわせて107議席を獲得することが確実視されています。
野党勢力が300議席の3分の2にあたる200議席を獲得した場合、憲法改正案を可決できるほか、大統領が法案に対して拒否権を行使しても、最終的に国会で可決することができるだけでなく、大統領の弾劾訴追も可能となりますが、与党が100議席以上を確保したことで、この可能性は一旦、なくなりました。
選挙の結果を受けて、最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は、11日未明記者会見し、「尹政権に対する国民の審判が下された。民主党にとっては、さらに良い国づくりに努めるようにという意味で受け止めている」と述べました。
与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)非常対策委員長は、投票が締め切られた直後に発表された出口調査の結果で、与党の惨敗が伝えられると、「失望したが、最後まで選挙結果を見守る」と述べました。その後、韓委員長は新たなコメントを出していません。
今回の選挙では、野党勢力がいずれも残り任期3年となった「尹政権を審判する」とキャッチフレーズを押し出していましたが、それに共感する国民が多かったことが野党の圧勝につながったものとみられます。
尹大統領は、いったん決めた政策は剛腕で推し進めるスタイルで、このような政治姿勢については、国民との対話に欠けるとして批判されてきました。
尹政権は2022年5月に発足して以降、政府と国会のねじれ状態に加え、支持率が約30%台を推移していたことから厳しい国政運営を強いられてきましたが、今回、与党が惨敗したことで、任期を半分以上残した段階で、早期にレームダック化が起きる可能性が高まりました。