最大野党「国民の力」の尹錫悦（ユン・ソンニョル）氏は、1960年、ソウル生まれの61歳。 
ともに大学教授の両親のもとに1男1女の長男として生まれた尹氏は、1979年にソウル大学法科大学に入学し、司法試験を受験して9回目で合格し、ほかの人より遅れて検事になりました。
尹氏の名が世の中に広く知られたのは、2013年に、朴槿恵（パク・クネ）前大統領が当選した大統領選挙に国家情報院が不正に介入した事件の特別捜査チーム長として捜査を指揮し、国家情報院のトップの逮捕をめぐって検察首脳部と対立し、更迭されたことがきっかけでした。
そのころから、尹氏の「筋金入りの検事」というイメージができあがりました。
その後、地方高等検察庁の検事に左遷されましたが、2016年、朴槿恵前大統領の親友、崔順実（チェ・スンシル）被告による国政介入事件で、政府から独立した特別検察官が指揮をする捜査チームの長として、カムバックを果たしました。
これを契機に、2019年に文在寅（ムン・ジェイン）大統領によって検察トップの検察総長に抜てきされましたが、文大統領の側近をめぐる疑惑を徹底追及したことなどから政権との対立を深め、結局、去年3月に任期を4か月残して、辞任しました。
いまの政権に抜擢されながらも、激しく対立した尹氏は、野党勢力の大統領候補として取りざたされ、「公正」と「常識」をかかげて大統領選挙に出馬しました。
選挙戦では、配偶者など家族をめぐる疑惑が相次いで浮上し、失言で物議をかもしたりもしましたが、大接戦の末、「政権交代」を強く求める国民の声に押される形で勝利を手にしました。
政界に足を踏み入れてわずか8か月目のことでした。