イギリスの映画「英国王のスピーチ」は、吃音に悩まされていたイギリス国王、ジョージ6世が言語療法士と出会い、さまざまな壁を乗り越えて吃音症を克服する姿を描いています。吃音症を乗り越えたジョージ6世は、スピーチを通して国民との疎通を深め、尊敬される国王になりました。スピーチが人の心を動かす力になることを身をもって示したのです。
時代が変わってもスピーチが持つ力は変わりません。韓国には上手なスピーチのノウハウを習うための塾があって、予想以上に多くの人たちがさまざまな理由でスピーチ塾に通っています。あがり症や話ベタを克服したい、人前で上手に話したい、大学入試や就職活動の面接を控えている、などの理由でスピーチのトレーニングを受けています。近頃はスピーチも能力の一つと見なされています。面接やプレゼンテーションだけでなく、日常の会話でも相手に好感を与えるスピーチが注目されています。
人は、古代から討論や議論を通じて政治、社会、文化を発展させてきました。歴史を変えた演説もあります。しかし、インターネットを利用した社会的ネットワーク、SNSが活性化するとともに、人と会って会話をする機会は減ってしまいました。SNSなど、文字だけで簡単にコミュニケーションできるようになり、実際に人と会って話す機会は少なくなってしまったのです。良いスピーチは、いろんな人と話すことで自然にマスターできるものですが、近頃はその機会が少なくなってしまいました。その一方、社会では、面接、授業、会議、プレゼンテーションなど人前で上手に話さなければならない状況が増えています。上手な話し方、スピーチのノウハウを習うスピーチ教育への関心は高まるばかりです。
自信がないからといって、口をつぐんでいるわけにはいきません。自分をアピールしなければ厳しい競争社会で生き残ることができないのです。スピーチ塾が人気を集める理由です。
スピーチ教育ブームは子どもたちにまで広がり、キッズスピーチ塾の人気も高まっています。低学年の場合は発声と発音を治したいという場合が多いのですが、高学年になると、生徒会長の選挙など、本格的な演説に備えるケースがほとんどです。韓国では、生徒会長などの活動はリーダーシップの能力とも見なされるため、競争率が高くなります。立候補した生徒たちは、教室を回りながら演説もするのです。
就職のため、信頼されるリーダーになるため、自分をアピールするためなど、スピーチ塾に通う理由はさまざまです。しかし、相手に好感を持たれる話し方、他人に注目される話し方をマスターしたいという目標は一つです。話し方をトレーニングするために塾に通う必要があるのかと思う人もいることでしょう。しかし、相手を説得しながら自分の意見をアピールする話し方はトレーニングを通してマスターしなければなりません。人と触れ合い、話す機会が少なくなってしまった今、スピーチ塾は、スピーチの力が求められている人たちにとって大きなよりどころになっているのです。