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文化

ドラマをきっかけに再び注目されている歴史上の人物、鄭道伝

2014-04-29

毎週土曜日と日曜日に放送されているKBSの大河ドラマ「鄭道伝(チョン・ドジョン)」。鄭道伝は、高麗王朝が崩壊し、新たな朝鮮王朝づくりに大きな役割を果たした人物です。1月の初めにスタートした大河ドラマ「鄭道伝」は、重厚感のあるストーリーと構成で、時代劇ファンの男性視聴者をテレビの前に釘付けにしています。

ここ数年、韓国ではファンタジーの要素を取り入れたフュージョン時代劇が大きな人気を集め、実際の歴史を扱った大河ドラマはあまり注目されませんでした。こうした中、現在放送中のドラマ「鄭道伝」に対する視聴者の熱い反応は意外ともいえるものでした。



高麗時代末期から朝鮮時代初期にかけて活躍した鄭道伝は、寂しい田舎町の下級官吏の家に生まれました。22歳の時、初めて官職についた彼は、その後、高麗時代からあった最高の教育機関、成均館(ソンギュングァン)の教官に任命されます。しかし、中国からの使者の出迎えを拒んだため、全羅道(チョルラド)に流されてしまいます。そこで10年の歳月を過ごしながら、民のための政治を夢見た彼は、当時、農民の尊敬を一身に集めていた武将、李成桂(イ・ソンゲ)と手を取り合って革命のために動き出します。理想と思想はあっても、それを実現させる力がなかった鄭道伝には、李成桂の力は欠かすことのできないものでした。朝鮮王朝の建国は、李成桂の力と鄭道伝の知識が出会い、成し遂げられた歴史なのです。ドラマ「鄭道伝」では、この二人の出会いから革命までの過程を高麗の権力者との駆け引きを加味して描き出しています。特に、高麗末期の政治家、李仁任(イ・イニム)とのやりとりは現在の政治とも実によく似ていて、視聴者の興味を引きました。

大きな権力をふるっていた李仁任(イ・イニム)にとって、土地改革を通じて世の中を変えようとした鄭道伝は目障りなうえに警戒すべき人物でした。しかし、理想郷を夢見る鄭道伝の決心は揺らぎません。そんな鄭道伝の姿に視聴者は爽快感を味わうのです。

民が中心となる世の中を夢見た鄭道伝。ドラマ「鄭道伝」では、波乱に満ちた彼の人生を通して政治の本質とそのあり方を問いかけています。国民の立場から、考え働く政治家をと願う大衆の心がドラマの人気にそのままつながっているのかも知れません。



ドラマの人気は出版界にも影響を及ぼしています。ドラマの影響で鄭道伝をモチーフにした本が改めて注目されているのです。高麗時代末期から朝鮮時代初期までは波乱に満ちた時代で、ドラマチックな人生を生きた人物も多いので、最高の素材といえます。鄭道伝をモチーフにした本は、ドラマが放送され始めた頃から現在までベストセラーになっています。ドラマ「鄭道伝」の人気からも分かるように、最近は、歴史の中心に立った王ではなく、王の周りの人物への関心が高まっているといいます。

「王は尊い存在だが、それよりも尊いものは天下の民心である。民の心を得られない政権は崩れるしかない」これは鄭道伝が書き、王に献上した法典「朝鮮経国典」に記された言葉です。

修学旅行に出かけた高校生たちをはじめ、あまりにも多くの犠牲者を出したフェリー沈没事故で、韓国は、今、深い悲しみに包まれています。全国民が無力感に陥っている今、民の心を重んじた鄭道伝が生きていたらどんな解決案を出してくれるのでしょうか。

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