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文化

「おにぎり」ほか

#国楽の世界へ l 2022-03-14

国楽の世界へ

「おにぎり」ほか

カヤグムの演奏者としてある程度有名になると、豊かな家で生まれ、優雅に育っただろうと思われがちです。でも、今日ご紹介するチョン・ミンアさんは、少し独特な履歴が目立ちます。国立国楽高等学校と漢陽(ハンヤン)大学校国楽科を卒業しましたが、演奏団には入団できませんでした。演奏者として生活していくことが漠然としてしまったのです。そんなとき、家の近くのクラブで週末のアルバイトをすると練習室が使えるとのお話を聞いて志願しました。それが縁になって、夜はクラブの舞台でカヤグムを演奏し、昼間はテレマーケティングの仕事でお金を稼ぎました。忙しい日々の中でも、自分だけの音楽を作ることは忘れませんでした。幸い、彼女の心を込めた音楽に耳を傾ける人たちが増え始めます。でも、少し有名になったところで、生計を立てるのは難しいものでした。音楽を続けるために多様な仕事をしましたが、そのひとつが、おにぎりを作って売ることです。直接おにぎりを作り地下鉄の駅前で販売しました。今日ご紹介する曲には、その時の経験が生々しく表れています。今日は、まず、チョン・ミンアさんの歌で、「おにぎり、주먹밥」という曲をお楽しみください。


追い出されたり、罰金を払うことになったり、おいしくなかったらどうしようかと色んな心配をしたことでしょう。このようなお話を朗らかに歌えるのは、まだ若いから可能なのかもしれません。これだけ前向きだから、大変な中でもくじけずに活動をしてきたんだと思います。当時、チョン・ミンアさんは、生計を立てること以外にも、色んな問題がありました。彼女は2005年、初めてのレコードを出しました。当時は、国楽界も今より保守的だったものです。チョン・ミンアさんの場合も、テレマーケティングの仕事をしている、クラブでカヤグムを演奏している、などのことで注目を浴びました。最近であれば国楽のグループがクラブに似合いそうな音楽を演奏したり歌うのが特別なことではありません。でも、当時は、カヤグムの演奏者がクラブで演奏をするとは、とても不思議なことでした。きちんとした音楽ではないだろうという視線にも、耐えなければなりません。しかし、これは彼女だけのお話ではないでしょう。他の人がまだ試したことのない新しい道を開拓する人々は、ほとんどがそのような視線を耐えなければならないものです。私たちがこれだけの文明や文化を享受できるのは、そのような視線に耐えた方々がいたからだといえます。今度は、キム・ヨンウさんの歌で、「青春の歌、청춘가」という曲をお楽しみください。


2011年、若いシナリオ作家、チェ・コウンさんは、何日も何も食べられなかった、余ったご飯とキムチがあればノックして欲しいという内容のメモを残したそうです。その後彼女は亡くなり、飢死にした作家として記憶されています。実際は栄養失調ではなく、病で亡くなったそうです。でも、彼女のお話は、韓国の社会が若い芸術家に関心を傾けるきっかけになりました。今日の最後は、大変な中でも堂々と生きる若者がトラのようにたけることを願い、バン・スミさんとラビの歌で、「トラ、범」という曲をお楽しみください。昔も今も若い芸術家の置かれた環境はあまり変わった気はしません。最近は、芸術家だけでなく、ほとんどの若者が大変な状況に置かれているようです。それでも堂々と幸せに生きる若者の姿から、未来の希望を見つけることができます。

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